ユニセフ初の難民親善大使マズーン・メレハンさんとの対談

インタビュー
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「シリアのマララ」
みなさんはユニセフ初の難民親善大使であるマズーン・メレハンさんをご存知でしょうか?今回来日された19歳のシリア難民マズーン・メレハンさんは、難民として3年間ヨルダンの難民キャンプで過ごしました。難民キャンプでの積極的な活動が、パキスタンのマララさんの活動と重なることから世界で「シリアのマララ」と呼ばれています。

ユニセフは2017年6月20日の難民の日に、マズーンさんを最も若いユニセフ親善大使として任命しました。ユニセフで難民の親善大使とし任命されるのは、マズーンさんが初めてです。そして先日、短い時間ではありましたが、私たち学生のユース4人がマズーンさんと対談することができました!難民としての生活や教育の権利を追い求める理由、現在の大学生活についてなど様々な貴重なお話を伺うことができました。

【1. マズーンさんってどんな人?】
マズーンさんはシリアで生まれ育ち、国内の内戦激化に伴い2013年からヨルダンの難民キャンプで3年間過ごしました。その後、イギリスへと移り住み、現在はイギリスの大学へ通っています。

マズーンさんは幼いころから、家族の教えもあり、教育こそが自分の人生を変える鍵である、と信じて疑いませんでした。シリアでの国内戦が激化した時に選んだ唯一の持ち物は学校の教科書でした。難民キャンプでも教育への信念は途絶えず、子ども、特に女の子の教育の大切さを訴える活動を始めました。マズーンさんは、一つ一つのキャンプを訪ね歩き、強制結婚の文化が残る中で、熱心に教育を受けることがどれだけ将来を変えるかということについて語り続けました。

このような難民キャンプでの活動が、ユニセフの目にとまり、後にマズーンさんはユニセフ親善大使として任命されました。親善大使に任命されてからも、マズーンさんはチャドの難民キャンプを訪れたり、国際会議に出席したりと世界中を飛び回りながら教育を受ける権利の重要性を訴え続けています。


【2. マズーンさんとの対談を通して】
マズーンさんとの対談を通じて、何よりも感じたのは、教育こそが子どもの人生を変えることのできるという揺るぎない信念でした。マズーンさんの力強い目や発せられる言葉の一つ一つから、教育への愛情と希望を感じました。「教育はすべての基盤になる。教育の機会があれば、子供たちに将来の希望を与えることができる。」マズーンさんは力強く語っていました。

故郷での内戦と難民キャンプでの生活を経験したマズーンさんの心情は想像することしかできません。しかし、彼女の言葉から溢れる教育への情熱から、辛い時に教育がどれだけ彼女の心の支えになってきたのか、そして彼女の活動によりどれほど多くの子供たちが救われてきたのかということを感じとることができました。

マズーンさんは日本の若者へのメッセージとして「好きなものほど行動を起こそう!」と述べていました。マズーンさんは学ぶことが好きであったからこそ、これまでの活動を続けることができたと言います。私たち若者が、何か自分の好きなことでアクションを起こすことで、少しずつ世界を変えていくことができるのではないかと、私たちに勇気を与えてくださいました。

一緒に対談に参加した学生たちから、それぞれの感想を述べてもらいました。

● 今まで自分が好きなだけ勉強できるという環境にいられたことの、ありがたさを改めて感じました。そして、同年代ということもあり、マズーンさんがとても身近に感じ、私も現状に甘んじずに、自分が今できることは何か考え行動にうつしていく勇気を持たないと、と思いました。
● まずは今回、ユニセフ親善大使のマズーンさんとお話する機会を与えていただけたことを大変嬉しく思います。マズーンさんは同年代であるのに芯がしっかり通っていらっしゃってカッコいいと思いました。特に、私はどこにいてもシリアのことは忘れないし、私の後ろにはたくさんのシリアの人がいる。将来はシリアに何かできたら、という言葉に大変心を打たれました。VoYJをご紹介した際には、すごく好意的に受け止めてくださったことも大変光栄でした。おこがましいですが、いつかマズーンさんと一緒に何かできたら幸せと思いますし、これからもマズーンさんを応援したいと思っています。
● 今回同年代でもあるマズーンさんと直接お話しして、どれだけシリアの現状が深刻であるか、そして教育の重要性を伝えるに当たってどれだけのチャレンジを乗り越えてきたのかの生の声を聞くことができました。シリアでの問題は永らく自分も興味があり追ってきたものでありましたが、初めて、シリア問題が身近に感じました。教育と自分の専攻である都市環境は関係性が深く、正しい教育によって将来の都市の環境も良い方向へ変えていけるかと思っています。マズーンさんの言葉から受けた刺激を活かして、VoYJやEMPOWERも含めて、これからもっと積極的に頑張って行きたいと思います。

【3. おわりに】
親善大使として世界で活躍するマズーンさん。しかし同時に、私たちと同じ大学生でもあります。大学では友達と一緒に勉強することが好きであることや、図書館によく行くことなど同年代ならではの話も聞くことができました。

非常に気さくで明るい方であり、最後にはVoYJの活動を頑張ってほしいとのお言葉もいただきました。今回の対談で終わることなく、いつか再びお会いし、共に活動できることを願っています。

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