VoYJをご覧のみなさま、いつも本当にありがとうございます!
おかげさまで、VoYJは先日10月10日をもちまして、7周年を迎えることができました!
7周年を記念して、2つの企画をお届けします。
①VoYJ7周年アニバーサリー・ソング
②VoYJ7周年特別インタビュー
ぜひご覧になってください! VoYJの7周年を共にお祝いしましょう!
<VoYJ7周年アニバーサリー・ソング>
7周年を記念して、歌⼿・俳優・声優としても活躍する加藤和樹さんが、「違い」をテーマにした楽曲『アウトキャスト』を歌唱して下さりました。「アウトキャスト」とは、しめ出されたり周辺化されたりした⼈々のこと。社会で⽣き苦しさを感じている⼈に届くようにと、ファンの⽅々と寄付活動にも参加している加藤和樹さんがあたたかい歌声で実現して下さりました。
VoYJ 代表 萩野聡⼦ コメント
「7周年というと短いようにも聞こえますが、ユースにとっては中学⽣が⼤学⽣に、⾼校⽣が社会⼈になるような、⼤きな、⼤切な年数です。それだけのあいだ、表現者、読者、つくり⼿、相談役といった形で VoYJ に関わってくださったすべての⽅々に、⼼からの感謝をお伝えしたい思いです。
「違い」を攻撃する⼈は、⾃⾝の「違い」に気づかれることへの怖さを抱えているのかもしれません。しかし「違い」のおかげで、私たちは得意なことを活かし、苦⼿な部分を補い合うことができます。そのことに感謝し、詞にあるように「誰もが違いを活かして」⽣きてゆける世界が実現されることを、願ってやみません。
その素敵な歌声という「違い」を活かしてエールを送ってくださった加藤和樹さん、この度はありがとうございました。」
東京⼤学 UNiTe 共同代表 榎本春⾳ コメント
「加藤さんの語るような歌声を⽿にしたとき、普段引き出しにしまってある⾃分のなかの⾊んな記憶や感情に、スポットライトが当たるような感覚がありました。⾃分⾃⾝が⾟かった記憶だけではなく、上⼿く⽀えになりたかったけれどなれなかった⼤切な⼈との記憶も。⼼にそっと触れるような⾳楽をともにつくってくださった加藤さん、みなさまに、⼼から感謝申し上げます。深い傷に寄り添うこの曲が、誰かのそばでそっとぬくもりを与えるものでありますよう、願っています。」
<VoYJ7周年特別インタビュー>
7周年特別企画として、世界の第⼀線で活躍する世界保健機関(WHO)⻄太平洋地域事務局コーディネーターの堤敦朗さんと、国連⼈道問題調整事務所(OCHA)ジュネーブ本部⼈事担当官・⼈事ビジネスパートナーの後藤泰⼦さんに特別インタビューを⾏いました。現在のお仕事から、多様な若者へのメッセージまで、温かい想いに触れて下さい。
堤敦朗さん 世界保健機関⻄太平洋地域事務局(マニラ)
VoYJ:これまでのキャリアと現在のお仕事について教えて下さい。
堤:私はこれまで国連職員として各国の精神保健政策の立案に携わり、また大学教員として教育・研究活動を行ってきました。こうした経験を通じ、精神保健は医療だけでなく、社会・経済・教育など複数の分野と密接に関連する課題であることを確認してきました。
現在は、世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局において、精神保健・薬物使用の地域顧問として勤務し、西太平洋地域38の国と地域を統括しています。主に、精神保健政策支援、サービス提供体制の強化、人材育成、研究・データ活用の促進などを担当しています。
特に、精神保健のプライマリヘルスケア(PHC)への統合、災害・緊急時の精神保健・心理社会的支援(MHPSS)、自殺対策は、地域の優先課題です。精神保健は多領域にまたがるため、保健医療に加え、教育、福祉、司法、地域コミュニティ、当事者・家族団体、若者組織、民間企業、学術、メディアなど多様なステークホルダーと連携し、各国が現実的で持続可能な政策を構築できるよう支援しています。

VoYJ:違いを尊重し、包摂を促進するために、私達にできることはどんなことでしょうか?
堤:違いを尊重し、社会全体でインクルージョンを進めるためには、個人・地域・制度の各レベルでの取り組みが必要だと思います。まず、「違いはあたりまえであり、自然なものである」という前提を共有することが重要です。ジェンダー、言語、文化、価値観、健康状態など、人は誰しも異なる背景を持っており、こうした多様性を支える仕組みが求められます。
そのうえで大切なのは、誰もが参加しやすい社会にしていくために、情報へのアクセスを確保することや、合理的配慮やアクセシビリティを整備すること。また、教育や対話を通じて偏見を減らし、互いの背景を理解する機会を増やすことも効果的です。さらに、政策や制度づくりには当事者が参加できる仕組みを導入することが不可欠です。若者の声や、アート・エンターテインメントが持つ創造性も、社会の価値観を変える大きな力があります。これらを政策や地域づくりに組み込むことで、インクルージョンはより自然なかたちで社会に浸透していくと考えています。
VoYJ:さみしさや周辺化、いじめなどの苦しい状況を乗り越えるためには、どのような⽅策が有効だと考えますか?
堤:孤独や疎外、いじめ、居場所の喪失などは、誰にでも起こり得る身近な課題だと思います。大切なのは、一人で抱え込まず、小さなつながりや行動を大事にすることです。家族や友人、先生、同じ経験をもつ仲間など、安心して話せる相手を一人でも持つことは大きな支えになります。また、自分を責めないことも重要です。

さらに、毎日の生活に「音楽」「芸術」など心を落ち着かせる習慣を取り入れることで、気持ちはより安定すると思います。私自身、思春期や学生時代に本当に苦しい時期がありましたが、振り返るとほんの数人の仲間とアートや芸術、エンターテインメントに心を支えられていました。だからこそ、「この人なら大丈夫」と思える人を一人見つけてほしいと思います。
VoYJ:⼀⼈ひとりが違う存在であるユース。そんなユースにメッセージをお願いします!
堤:みなさんにお伝えしたいのは、「自分の違いは弱さではなく、あなたの一部であり、強みであり、その強みは将来の可能性につながる」ということです。人は誰もが異なる背景や価値観、得意・不得意を持っており、その多様性こそが社会を豊かにしていると思います。今、周囲と比べて不安になったり、自分だけが違うように感じたりしても、それは自分の価値を見つけるチャンスでもあります。また、困ったときには助けを求めてよいということを忘れないでください。信頼できる大人や仲間、先生、専門家など、支えてくれる人は必ずいます。すぐには見つからないかもしれませんが、必ずどこかにいます。みなさんの柔軟な発想や創造性、多様な経験はこれからの社会を動かす力です。違いをもつ若者も含め、誰もが自分らしく安心して生きられる未来に向けて、私自身も皆さんとともに歩んでいきたいと思っています。
後藤泰⼦さん 国連⼈道問題調整事務所本部(ジュネーブ)
VoYJ:これまでのキャリアと現在のお仕事について教えて下さい。
後藤:私は現在、国連⼈道問題調整事務所(United Nations Office for the Coordinationof Humanitarian Affairs:OCHA)で⼈事担当官・⼈事ビジネスパートナーとして、職員の採⽤活動、管理業務をはじめ、管理職職員に対して、労使関係1)、⼈事評価等のアドバイスも⾏なっています。⼦どもの頃から、「⼈種、⽂化、宗教など様々な違いを認めて共存する」ということに関⼼があり、⼤学卒業後に⼤学院に進学し、アメリカとイギリスで国際関係論・難⺠問題等について学びました。
その後、国連難⺠⾼等弁務官事務所(United Nations High Commissioner for Refugees:UNHCR)のジョージア事務所に准プログラム担当官として赴任したのを⽪切りに、国際公務員としてニューヨークとジュネーブの本部と、インドネシア現場事務所両⽅で、紛争や⾃然災害の被災者に対する緊急⼈道援助活動に携わってきました。

VoYJ:違いを尊重し、包摂を促進するために、私達にできることはどんなことでしょうか?
後藤:これは私がずっと抱えている問いです。現在、⾃分を含めて 7 ⼈の多国籍チームのチームリーダーとして働いているのですが、意⾒や考え⽅の違いで衝突が起こることもありますし、その度にお互いを尊重するのは難しいことだな、と感じます。「違い」と⾔っても国籍や⼈種、⾔語、⽂化といった⽬に⾒えたり⽇常でわかる「違い」と、意⾒や考え⽅のように、実際に話したり、関わってみないとわからない「違い」もありますよね。⼈事課の中で、UN GLOBE(国連内の LGBTQ+職員とその家族のための団体)の担当と、ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョンの担当もしているのですが、この活動を通じてまだまだ⾃分の知らない、気が付かないことで困ったり悩んだりしている⽅々がいることを⽇々感じています。
その中で、今私が「違い」を認めて尊重しあっていくために必要だと思うのは、当たり前のようですが、好奇⼼と想像⼒、識る努⼒です。職場においては、⽴場的にもチームをまとめていく必要がありますし、職務的にも様々な職員の⼈事上の問題も解決していかなければなりません。関わる相⼿に対して敬意を持って、理解できなくても⽴場を理解しようと努⼒すること、その地道な積み重ねが⼤事だと思います。

また、⾃分をよく識ること。例えば、⾃分はどういう時に寛容になれるのか、またイライラしてしまうのか、何に恐れを抱くのか、どういうときに共感するのか。⾊々な場⾯で⾃分がどうリアクションするのか、を知っておくことで、「違い」に接した時の⾃分の反応に驚かなくなりますし、対処ができるようになると考えるからです。とはいえ、⼀朝⼀⼣にはいかないですし、「筋トレ」のようなものですね。
VoYJ:さみしさや周辺化、いじめなどの苦しい状況を乗り越えるためには、どのような⽅策が有効だと考えますか?
後藤:様々な厳しい状況やチャレンジがあると思うので、⼀概にはいえませんが、全部⼀⼈で抱え込まず、助けを求めることを恐れないことでしょうか。⾃分でできることとしては、⾳楽や美術、読書など、⾃分の⼼を癒すいくつものコーピング・ストラテジー2)を持っておくことが鍵だと思います。⼤好きな曲を聴いたり、歌ったり、映画を観たり、読書に没頭したり、あるいはスポーツ観戦だったり、と⼼を揺り動かされる体験をしたり、誰か別の⼈の⽣き様に触れたりすることで、癒されたりインスピレーションを得られることもあるのではないでしょうか。私は以前、アメリカの国⽴公園で⼤⾃然に触れた時、⼈間の⼀⽣の⻑さと⾃然の時間軸の差に、「⼈間って⼩さい!」と⼼から思って、その時悩んでいたことが急にどうでも良くなったことがあります。
そしてこういったことでは解決できないことは、信頼できる⼈や気の合う友達に話したり、相談してみる。専⾨家に助けを求めることも場合によっては必要だと思います。可能なら環境を変えてみることも⼀つの選択かもしれません。⾃分のお道具箱の中に様々な気分転換の⽅法や趣味のようなものを持っておき、それでもどうしようもない時は、我慢せず助けを求める。必ずどこかに味⽅になってくれる⼈はいるはずなので、とにかく思い詰めず、抱え込まないことが⼤事だと思います。

VoYJ:⼀⼈ひとりが違う存在であるユース。そんなユースにメッセージをお願いします!
後藤:今世の中は新たな戦争が起こったり、経済格差が広がって政情不安になったり、第⼆次世界⼤戦後の世界体制は転換期を迎えているように思います。開発が進んだと同時に、⽣態系の破壊の問題も多く出てきています。⼈だけでなく、動物や植物、環境そのものとの共存を、今までよりももっと考えていかなければならなくなっています。国連も、その意義や役割を⾒直していくことを迫られています。
こういう状況ですと、未来に不安を感じて落ち込んだり、無⼒だと感じることもあると思います。でも、昔からおそらく⼈間はそういう困難に⽴ち向かいながら、励まし合い、協⼒し合い、より良い世界の実現を⽬指して⽣きてきたはずです。⾃分⼀⼈でできることは限られているけれど、ひとりで⽣きているわけではないので、頼ったり頼られたり、協⼒し合いながら、1 ⽇を丁寧に⽣きる。 「千⾥の道も⼀歩から。」です。まずは、ひとりひとりが、⾃分と周りの⼈との共存を考えて⾏動していく。その積み重ねがと広がりが、少しでも世の中を住みやすいより良いものにしていくことにつながっていくと思っています。
みなさまが「違い」について考えるきっかけとなれば、事務局一同嬉しく思います!
想いを言葉にしたら、ぜひともボイスをお寄せください。
これからも、8年目に突入するVoYJをどうぞよろしくお願いいたします!
1) 労使関係:働く人(労)と会社の人(使)が、仕事のルールや働き方について話し合ったり、協力したり、ときには対立を解決したりする関係全体を指します。
2)コーピングストラテジー:ストレスや困ったことが起きたときに、それを乗り越えるための「対処のしかた」や「心の工夫」のことです。

