私は夜空をぼーっと見上げるのが物心ついた時から好きでした。私の地元は愛知県の田舎の方で、父が夜に「星が綺麗だから見て」と言ってくれたことが、天体観測を好きになったきっかけだと思います。
それから私はほぼ毎日、窓から夜空を眺めてから眠りに就いていました。夜空は自分の気持ちを静かに受け止めてくれるような気がします。夜空を見ると、嫌なことがあった時でもおだやかな気持ちになれるような気がしました。そういうわけで、私は自分の部屋の窓から見える夜空が大好きでした。
大学生になって上京し、一人暮らしを始めました。学校の勉強に加えて、サークルにバイト、学園祭など慌ただしくも楽しい毎日を過ごしています。そんなある日、「土星を見に行こう」と友達に誘ってもらい、天体観測に行くことになりました。
当日は、日没から3時間ほど、友達と一緒にぼーっと空を眺めていました。その時に、実家の窓から夜空を眺めている時のことを思い出し、すごく懐かしい気持ちになりました。最後に夜空を見上げたのはいつだっただろう…。
結局、すごく曇っていて土星は見えませんでしたが、織姫星のベガだけがかろうじて見えました。あまり星が見えなかったのは残念でしたが、ベガを見た瞬間に、思い出や昔の自分など、大切なものが自分の中でたくさん蘇って溢れてくるような気持ちになりました。曇っていても、昔見た故郷の星空を心の目で見ることができたように感じて、すごく懐かしいような、あたたかいものが込み上げてくるような、そんな気持ちになりました。
毎日の慌ただしさでいつも気を張り詰めて背伸びしていた自分の、緊張の糸がほぐれたような1日でした。この日以来、日々の忙しさに飲み込まれて大切なことを見失わないように、定期的に夜空を楽しもうと思いました。
みなさんも毎日頑張っていらっしゃることと思います。みなさんが最後に夜空を見上げたのはいつでしょうか。
一息ついてぼーっとできるような瞬間がみなさんにもあるといいですね。
愛知から東京に上京して経済学を勉強中。趣味は美術館巡りや天体観測。美味しいものを食べるのが大好き。のんびり生きたい。