人生の遠回り

ボイス

「浪人、留年、中途退学……」

これらは一般的に失敗や挫折、落ちこぼれとされているものではないでしょうか。

少なくとも、私自身はそう思っていました。

人生における “最短ルート”、“正解ルート” から外れてしまった人たちだと。

 

そして、大学受験で第一志望校に受からず、浪人生となった私もその一人でした。

浪人生活が始まったばかりの頃は「あぁ、人生失敗しちゃったなぁ」と思っていました。

周りの友達は大学生になり、きらきらした生活を送っているのに、

自分は受験勉強の延長戦。

自分だけが同じ場所に留まって、先に進めていないのではないか、

みんなから置いて行かれてしまっているのではないか。

毎日、不安や孤独にさいなまれていました。

 

そんな鬱々とした日々を過ごしていたある日、ふとテレビを付けると、

ドラマ「コードブルー」の再放送が流れていました。

その中の1シーンを私は今でも憶えています。

そのシーンでは、戸田恵梨香演じる緋山先生は同期の研修医たちが皆フェローシップ* を卒業する中、一人だけ周りから1年遅れることになってしまいました。しかし緋山先生はすっきりした表情で「私は遠回りしてみようと思います」と言っていました。

 

そのとき、私は今、遠回り中なのだとハッとさせられました。

「現役合格」という目標を達成できず、“最短ルート” を歩めなくなってしまった時、プツンと道が途切れてしまった感覚におそわれていました。

でも、それは遠回りを進むことになっただけなのだと捉えなおすことができました。

 

生きているといろいろな尺度で自分の人生が相対的に評価されてしまいます。

容姿、学歴、裕福さ、人間関係、恋愛事情……

その他人生におけるほぼすべての面が評価対象になっているように感じます。

そして、気が付かないうちにそのものさしを自分自身に当てはめて、自分で自分を評価してしまっている気がします。

成功して順調にいっている人、要領よくこなしている人を見て羨ましく感じたり、

劣等感を抱いたり、

時には自分の人生を投げ出したくなってしまう時もあるかもしれません。

 

しかし、本当は成功や正解なんて人生には存在しないと思います。

浪人も留年も中退もすべて人生の失敗ではありません。“遠回り” です。

 

人生は最短ルートで歩めなくてもいいのではないでしょうか。

きっと、遠回りしたことでしか見られない景色があると思います。

 

ただ大切なのは、遠回りに逃げてだらだら歩むのではなくて、

必死にもがきながら全力で歩むことだと思っています。

 

フェローシップ*:ドラマ内では医師になるための専門研修制度を指す


 

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