慣れない場所に行く理由

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最近よく聞かれる質問第一位が「コロナが収束したら何がしたい?」だ。違う国に行っている時間が大好きだった私にとって「海外に行きたい」という答えが自然と出てくる。

だが、先日いつも通りこの回答をしたら、違和感があった。自分がそれほど強くそうは思っていないことに気がついたのだ。海外に行くことが大好きだったはずなのにどうして、と自分自身の思いが理解できず、なんとなくモヤモヤした。

数日経ち、知らない国に行っているとき、どんな気持ちだったのか思い出したくて、久しぶりにアルバムを開けてみた。見たこともない景色、口にしたこともない料理、感じたこともない気持ちにキラキラしている自分がそこにはいた。一瞬一秒の新たな出会いに、緊張と不安、ワクワクと楽しさでいっぱいになっていたことがぶわっとよみがえった。

慣れた場所にいるのはすごく楽だ。楽しいことだって時たまあるし、反対に恐怖に襲われることはあまりない。コロナが流行してから、私の生活はそんな感じだった。家にいることが増え、知っている人たちと母語に囲まれ、なんとなく予測できる毎日。
私は、ここから出る意義がわからなくなっていた。だって、自分が慣れていない場所に行くのは、気力も体力も要する挑戦だから。海外旅行だけじゃない。新たな環境に飛び込む機会は人生、山ほどある。
どれも心をかき乱し、ポジティブな気持ちとネガティブな気持ちでぐちゃぐちゃにする。心身共に疲れさせる。

だが、そこには価値がある。
疲れるけど、怖くもなるけど、それでも慣れない場所に行く意義があるのだ。
一生懸命生きている実感がして、いつもより自分を好きになれて、今がとてもいとおしくなる。

アルバムを閉じて心から思う、勇気を出して飛び出すその日が、私は楽しみでしかたない。


 

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