スウェーデンを語る会【中編】

地下鉄の駅で
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こんにちは、VoYJ編集部です!

今回は「スウェーデンを語る会」と題して、北欧スウェーデンにおいて留学や研究旅行を経験した影山萩野佐々の3人が、その経験を言語や生活、学業など様々な視点から語ります!
【前編】はこちらから!

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佐々
先ほど、現地で受けていたスウェーデン語の授業について少し言及があったと思うんですけど、“学業と私生活のバランス”について是非話してみたいですね。社会人でいう“ワーク・ライフ・バランス”ならぬ“スタディ・ライフ・バランス”でしょうか。影山さんは既に1年近くスウェーデンで勉強されていると思いますが、日本での学業生活との違い等は感じますか?

影山
大学院だからかもしれないけど、9時から17時までは集中して授業を受けたり各自が勉強したりするけど、それ以外の時間ではそこまで勉強することを求められてはいないし、むしろやらない方がいい、みたいな雰囲気はありますね。学生だけじゃなくて研究者の方々も含めて、17時を過ぎるとみんな研究センターからいなくなるしね。子どもたちの送り迎えのために、15時過ぎとかに抜ける先生もいるね。でもこれは、もちろん学校やコースにもよるだろうし、友達はそれこそ研究室に毎日朝早くから夜遅くまでこもっているという人もいるから、一概には言えないと思うけど。それに、早めに帰った先生も、家に帰って子どもを寝かしつけてから研究の続きをやっている人もいるみたいで、夜中にメールが来ることもありますね。

佐々
やっぱりそれってスウェーデン独特な習慣なんですかね。留学中にできた他のヨーロッパの国出身の友人たちも、図書館で勉強しているとスウェーデン人の学生が17時ごろになると荷物をまとめて帰りはじめることに驚くって口を揃えて言っていました。みんな帰宅後には、それぞれ自分の時間を楽しんだりしているんだと思います。もちろん、寮に帰って夜に勉強を再開する人もたくさんいると思いますが。日本だと、「図書館で夜22時まで勉強した!」っていう学生も多いですもんね。

萩野
私も図書館ではないけど、家で夜中まで勉強することは結構ある(笑)

影山
スウェーデンでは特に冬が長くて暗いから、鬱っぽい気持ちになるんだよね。だから、冬は特に自分の時間を大切にして、帰宅後は心身を休めようって思いました。

萩野
逆に夜が長いなら、続けて勉強しちゃうっていうのもできそうじゃないですか?私の知り合いで、暗いときの方が執筆とかに集中できるから、朝になってもカーテンとシャッターを閉めて部屋をわざわざ暗くするっていう人もいます。

影山
そんな人もいるのね(笑)。でも、それをやっちゃうと本当に朝/夜の区切りがなくなって、9時〜17時のリズムも崩れて元に戻せなくなっちゃうと思うな。夏も同じで、朝/夜のはっきりした区別がないから。

ウプサラの街から見えたオーロラ(2023年2月)

佐々
スウェーデンって、たしか11月12月が一番暗いんでしたっけ?僕はスウェーデンに行ったのが1月から6月までだったので、日に日に明るくなっていくことを感じました。結構いい時期に留学できたなって思います。やっぱ環境的なところって勉強する上ですごく重要ですよね。

影山
うん、本当に大事にしないといけないと思います。自分のコースでも、昔はあんまりワークライフバランスが重要視されていなかったらしくて、9時〜17時の間に捌ききれないくらいの宿題を課すスパルタな先生もたくさんいたみたい。今も宿題は多いけど、極力9時〜17時の中でこなせるように配慮されていて、「もしそれを上回る過度な課題が出されるとかした場合は教えて」って最初に説明されました。昔は、学生で体調を崩したり、精神的に疲れてしまう人も多かったみたい。

佐々
スウェーデンに行く前と後で心境やライフスタイル、食生活などの面で何か個人的な変化はあったりしましたか?

影山
ヨーロッパだと周りにヴィーガンやベジタリアンも多いのもあって、日々の生活の中でお肉の消費量は減ったかもしれない。どれくらい減ったかはわからないけど、少なくとも気にするようにはなったかな。

佐々
わかります!ファストフード店にさえもほとんどの場所でヴィーガンやベジタリアン用のメニューが用意されていたと記憶してます。

影山
マックとかにもあったっけ?

佐々
たしかあったような気もするんですけど、そもそもスウェーデンではあんまりマックを見かけませんでした。代わりに、スウェーデン発祥のMAXっていうハンバーガーショップがたくさんありますよね。そこにはヴィーガン・ベジタリアン用のメニューがたくさんありました。萩野さんはMAXトライしました?

萩野
行けなかったのよね。調べたら空港にあるってわかったから、帰国前に行こうと思ったんだけど、ターミナルが違ったから。

佐々
それは残念。ストックホルムはマックもMAXも両方あると思うんですけど、僕の滞在していたウプサラの中心部にはマックはなくて、あとはスタバもなかったので、とても意外でした。マックとかスタバってどこでもあると思ってたので。

萩野
スタバの代わりに、エスプレッソハウスっていうチェーン店のカフェには行きました。

佐々
影山さんはスウェーデンで外食とかはされますか?

影山
今年から結構するようになりました。もちろん自分で作ることも多いんだけど、アルバイトをするようになってお金を稼げるようになったし、友達ともっとストックホルムを楽しもう!って話しています。

佐々
スウェーデン料理とかはよく食べますか?

影山
日本から来てくれた友達とはよく行くよ。だけど、萩野さんがストックホルムに来てくれてお会いした時にはスウェーデン料理には行かなかったね。ストックホルムにあるスウェーデンレストランは結構値段が高くていいレストランが多いのもあって。
多分、ストックホルムの学生生活とウプサラの学生生活って全く異なるよね。佐々くんが滞在していたウプサラは、もっと学生の街っていう感じかな?

佐々
本当にそうです。ネイションと呼ばれる学生自治組織がウプサラには13個あって、それぞれのネイションがレストランとかパブ、パーティー会場を持っているんです。大学のキャンパスと各ネイションの建物で街が構成されている感じで。部活動とかクラブ活動とかそういうのとはまた違う感じなんですよね。

影山
うん。それを聞いて楽しそうだなって思っていました。ストックホルムにはそういうネイションみたいな学生文化はないな。学生同士のつながりは比較的薄いのかもしれない。ストックホルム内でも、僕が今所属している研究機関とそれ以外の大学組織とかだと違いがありそうだけど。パーティーするってなったら友達の家に行ったりするかな。

佐々
せっかくなので、スウェーデンの都市の話とかしましょうか。萩野さんもスウェーデンに滞在中いくつかの都市を訪れたんですよね?

萩野
めっちゃ行きました。ヨーテボリ(Göteborg)、ウプサラ、ノルショーピン(Norrköping)、シグトゥーナ(Sigtuna)、ヴァクスホルム(Vaxholm)とか。シグトゥーナは特にかわいらしくて好きだったな。あとは、ヨーテボリも私が研究している作品の舞台になった都市なので見ておこうと思って訪れたんですけど、とても綺麗な街でした。イギリスに近い港町なので、天候が悪いって聞いていたんだけど、私が滞在している間はヨーテボリに限らずどこの都市でも一度も雨に降られなかったからよかった。影山さんはヨーテボリには行かれましたか?

シグトゥーナの街中で

影山
いや、ヨーテボリはまだ行ってないですね。いつか行きたいなって思っているんだけど、なかなか機会がなくて。。。国内だと、スキーをしに北の方に2回行ったよ。今度の冬に日本からの友達とオーロラを見にキルナへ行く予定。あとは、アーキペラゴ(群島)には何度か行きました。サウナも楽しめて、素敵な滞在でした。佐々くんは?

佐々
留学の最後の最後、日本に帰る1週間前くらいに友達とスウェーデン国内ドライブ旅をして、ストックホルムからスタートしてカルマル、エーランド、カールスクルーナまで3泊4日で行きました。カールスクルーナは、スウェーデンの古い軍港らしくて、たくさんの船舶が並ぶ海でカヤックをしたりしました。その後、電車でマルメーやヨーテボリを訪れ、飛行機でウプサラに戻りました。結構な大旅行でした。

影山
すごい!いいなあ。たくさん行ったね。スウェーデン国内にも魅力的な都市や島がたくさんあるよね。友達がエーランド(Öland)に別荘を持っていて、遊びに行ったらすごく素敵で感動しました。

萩野
卒論のあと修士で研究しようかなと思ってる作品の作家さん、そのエーランド島に住んでるんですよ。縦長の島ですよね。行ってみたい。

影山
そうなんだ!エーランドは都市って感じよりは自然豊かなのどかな感じだよね。

萩野
あとは、スウェーデン北部のラップランド地方に行ってみたいです。知っている翻訳家さんが住んでいるマルメーも。

佐々
マルメーって、そこ自体ではそんなにやることはないかなっていうイメージでした。デンマークの首都コペンハーゲンに近いので、マルメーに宿をとってコペンハーゲンを訪れました。デンマークの方が宿代とかが高かったので。

影山
北欧全体的に物価高いけど、コペンハーゲンは物価のレベルが違うよね。

萩野
私的には、本の税金がすごく安いのが魅力的でした。食品12%、お酒25%のところ、本は税金6%なんです。

影山
そうそう、芸術活動とかに関する税金は6%なんだよね。

クリスマスにクロスカントリースキーをした時の様子。13:00でこの日の高さ。

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いかがでしたか?3人がスウェーデン現地で目にした美しい景色もご紹介しました。
次回はスウェーデン社会の姿や住宅事情などについても語ります!
【後編】もお楽しみに!


 

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