皆さんこんにちは。
現在、東京大学の工学部に所属する「隣のシケ長さん」です。
タイトルを読んで「なんで漢文を使ってるんだ???」と思った方もいるかもしれません。
簡単にいうと、
「物事を継続して実行するって難しいよね」
という話をこの記事ではしたいと思います。
私がこの漢文に出会ったのは高校の古典の授業中でした。
「創業守成孰難(訳:国を作ることと国を守ることでは、どちらが難しいだろうか)」
十八史略という書物で、偉い人が二人の家臣にこう質問するんですよね。
家臣Aは「国を作るときには秩序がバラバラで戦いに勝たないといけなかったから、
[創業]の方が難しい。」と言い、
家臣Bは「国が災厄に襲われたときに何もせずに失脚しなかった国王はいない。[守成]の方が難しい。」と言うんです。
この言葉を聞いた偉い人は「家臣Aは私と国を作るときに苦労したから、[創業]の大変さを知っている。また家臣Bは一緒に政治を行ってきたから、[守成]の大変さを知っている(以下略)」
と双方の意見を尊重します。
この漢文を読んだときには「いい感じに、はぐらかしたな〜」ぐらいにしか考えていなかったのですが、高校・大学生活を過ごした今だと「[守成]の方が大変だ」と思うようになりました。その理由を以下で書きたいと思います。
※この記事では、
[創業]→責任のある立場に立って大人数で「新しいこと」を始めること
[守成]→責任のある立場に立って大人数で「継続」して行うこと
と定義しておきます。
①[創業]の機会は多く、慣れてくる
これは環境に依存すると思うのですが、[創業]する機会って[守成]よりも多いんですね。例えば「オンラインで学科の説明会をしよう」とか「zoomを使ったオンライン飲み会をやりたいから、みんなの予定を聞いてみよう」などなど規模の大小はありますが、
機会は結構たくさんあるんです。しかも何回もこんな企画立案をしていくと、経験値が溜まるので難しいという感覚が薄れていくんですよね。
(さっきの例を踏まえるなら、「オンライン飲み会がうまくいったから、オンラインボードゲーム会もできるんじゃない??」みたいな感じです。)
一方で[守成]をする機会は少ないです。例をあげるなら「部活動の部長をやって欲しい」とか「会社の経営を任せたい」とかでしょうか?私もなかなか経験ないです…
またこの[守成]が厄介なのは「自分が担当している間に自分の行動の結果が出にくい」ということです。あまりにも行動が酷ければすぐに影響が出るかもしれませんが、ちょっとした方針転換が2、3年後に大きな影響を与えることもあるわけです。そんな訳で、自分の行動にフィードバックをかけにくいのも[守成]の難しい点であると私は考えています。
②[守成]は自己満足だけじゃできない
次の理由は「守成はその場の自己満足だけじゃできない」というものです。[創業]のように新しく企画を立てる時は前例などがないので、一緒に活動している人たちの意見を汲み取れば完成形に近づけることができます。
一方で「既に形があるもの」を継続するためには、未来を見据えて、そして今まで関わってきた人たちの想いを踏まえて行動をしなければならないので、私は息苦しさを感じます。
③自分が[創業]した企画って[守成]してもらいにくくない??
これは先ほどの漢文の文脈に近いんですが、
「自分が初めて企画したイベントを他の人に継続してもらうのって気が引けませんか?」という私の中にある疑問から生まれました。
一般的に何か新しい企画を始める時は目標がある、もしくは必要に駆られて行動する人が多いと思います。だからこそ始めた当初は何をやっても楽しいですし、達成感があります。ただその企画が一度成功して安定軌道に乗ってくると、新しい目標などを考える必要性が出てきます。さらに自分がその企画に関わることができなくなったときには、誰かに企画の運営をお願いしなければなりません。
このような時に私は、
「自分が始めた時は〇〇という理由があったけど、今はそこまででもないし後輩に無理してやってもらうのも大変だよね…」
と考えてしまいます。
皆さんは引き継ぐときにどのような心境で引継ぎますか??
(コメントのところに書き込んでもらえると嬉しいです。)
いかがだったでしょうか?
以上の3点が[守成]が難しいという理由です。
大学でも最高学年になって[守成]する機会が多くなってきたので書いてみましたが、
「もし[創業]の方が難しいわっ!!」という意見があれば聞いてみたいのでコメントしてみてください。
p.s. ちなみに冒頭の漢文には続きがあって、「〜[守成]の大変さを知っている。しかし今は平和な世の中で、国を守ることの困難はすでに去った。これからはお前たち二人と一緒に守成していきたい。」という風に終わっています。
こんな風に堂々と他のメンバーを導いていけるように精進していきます。
福岡県出身、東京大学工学部在学。シミュレーションを使って新しい理論の構築を目指しています。