音楽を辞めて

ボイス
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つい先日、所属していた吹奏楽サークルを引退した。中学1年生の頃からずっと続けてきたものだから、まだ練習がない日々に慣れていない。

もう新しい団体に所属する気にはどうしてもなれない。吹奏楽は一人ではできないもので、だからこその楽しさがあるけれど、だからこその大変さもたくさんあった。同期での揉め事に巻き込まれたり、問題児の後輩の面倒見役を任されたり。楽器オーディションの結果に納得がいかない同期がいたり、先輩同士の対立で空気が最悪になったり。役職決めで揉めて陰口を言われたり、大量の仕事を押し付けられたり。きっと一度でも吹奏楽団体に所属したことがあるならば、「あるある」と思うことがたくさんあるのではないだろうか。これが9年も続くと、流石に飽きるものである。

吹奏楽をやっていた日々を振り返ったとき、辛かった思い出が多く浮かぶけれど、一方で、逃げなかった自分は本当に吹奏楽を愛していたのだと思う。辞めたら聞かなくなるかなと思ったけれど、時折吹奏楽曲を聞いて、「この曲やりたかったな」「ああ、⚪︎⚪︎さんのソロ素敵だったな」と思ったりしている。演奏会も探してしまう、というかSNSに勝手に流れてくるし、好きな曲があれば行きたくもなる。

これから音楽と関わっていくのだろうかと考える。楽器は手元にあるし、まだ吹きたい曲もある。ピアノも少しなら弾けるし、好きな曲を書き起こしたりするのも嫌いじゃない。これからも演奏することを好きでいる自信はあるけれど、今は少し好きでいることに疲れてしまっているような気がする。持続的に好きでいる方法を模索したいと思っている。

担当していたのはサックスという楽器だった。世界で一番美しい楽器だと思っている。何かの演奏会を見に行ってステージからサックスを眺めるとき、どの楽器よりも光り輝く姿に毎回惚れ惚れする。その艶やかで豊かな音に今でも夢中である。クラシックでもJAZZでも、替えの効かない音がする。メカニカルな見た目なのに馬鹿でかい音が出る意外性も愛している。買ってもらった自分の楽器も、世界で一番良い音が出る楽器だと思っている。自分は世界で一番の奏者じゃないから、楽器に対して申し訳なく感じる日々だった。けれど私にしか出せない音がきっとあって、私のために書いてもらった曲があるから、またどこかで人に演奏を聞いてもらう機会があることを願っている。


 

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