難民×食=美味しい支援

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 私はご飯を食べることがとても好きです。美味しいお店を探して、お腹いっぱい食べる。これ以上幸せなことはないし、好きな瞬間はないと思っています。誰にでも当てはまるとは言い切れませんが、人間は「食べなければならない」と言う本能的な欲求を満たすというよりも、「好きなものをみんなでお腹いっぱい食べる」と言う行為そのものを純粋に楽しんでいるのではないでしょうか?それが、食事の醍醐味であって、楽しい食事を求める原動力ですよね。しかし、世界に目を向けてみると日々の食事を楽しむことさえできない人は多くいます。それどころか、その日食べるものすら手に入らない人もいるのです。

 

 

 国連は2015年、SDGsの2番目のゴールに「飢餓をゼロに(Zero Hunger)」を設定しました。2019年7月にUNICEFは、現在、世界では推計8億2000万人の方達が十分な食事が取れておらず、その数は3年続けての増加していると報告しました。特に、アジア、アフリカではその対処の進展が著しく遅れているとのことです。

 

 特に、食べ盛りの子供達や、胎児に栄養を与え続けなければならないお母さんたちの体はどんどんボロボロになっていきます。2019年の上記と同様のUNICEFの報告では7人に1人の赤ちゃんが、お母さんの栄養不足によって十分な体重でないまま生まれてきました。さらに極度の栄養失調は、感染症のリスクも増大させます。

 

 では、私たちの支援対象者である難民の方達の食生活はどうなっているのか?日本で推奨されている、一日の摂取カロリーの基本的な基準は、12歳以上の男性は2200〜3000kcal、女性は1400〜2200kcalと言われています(農林水産省:https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/zissen_navi/balance/required.html)。しかし、難民キャンプでは一日1人あたり約1900kcal(緊急時には2200kcal)分の食事しか提供されていないのが事実です(UNHCR:https://www.unhcr.org/jp/camp)。そのような状況のなかで、配給された食事を生活のために売ってしまったり、配給システムの問題で公平に食事が行き渡らなかったり、配給の不正受給なども現地では珍しくありません。このことから、難民キャンプでも食事はあるものの、十分ではなく、栄養失調などが課題となっています。また、難民の方達が暮らしている場所は、紛争地域が多く、食料の調達が困難であることも容易に想像できます。

 

 ここまで読んでいただけたら、世界では、多くの人、多くの難民の方達が日々の食生活に苦しんでいることが想像できると思います。何か私にできることはないのか!?と思った人もいると思います。けど何ができるのか?このような問題に接した際に、実際に自分レベルにまで落とし込んで、じゃあ私は何をするべきなのか?と考えて行動することが1番難しいと思います。

 

我々の日々の食事を明日現地に届けることはできないし、食品ロスを減らしても、それが現地のご飯になる訳ではない。国境や、お金、時間、様々な制約のせいで諦めるしか、、、。と大半の人が思ってしまうのも仕方がないことです。そこで私たちは今回、学生の私たちでもできる、何か支援したい!と思ったら間接的にでもその支援を現地へ届けることができるプロジェクトを皆さんに紹介させていただきます。

 

 難民の「食」にフォーカスを当てた支援に、「Meal 4 Refugees (M4R)」という活動があります。これは、難民の方達の郷土料理を学生生協で販売するプロジェクトです。売り上げの一部は難民支援協会に寄付され現地の難民支援に使われます。じゃあ、このプロジェクトの重要な点は何なのか?ただ、お金が寄付されるだけでは実はないんです。(もちろんそれもとても重要な支援の一つですが)私はその他に3つあると考えています。

 

学生に自分たちでもできる難民支援がある!ということを知ってもらうこと。

その土地の文化を体験し、興味を持ってもらうこと。あわよくば、難民支援に興味を持ってもらう事。

期間限定の取り組みだからこそ、友人らとM4Rを通じてその時しか味わえない新しい料理、食事時間を楽しんでもらうこと。

 

この3つも寄付と同じくらい重要だと思うんです。その場限りの支援ではなくて、次につながる、支援の輪がどんどん大きくなる。そうすると、そのおかげで助けられる人も増えていく。学生生協は大学がなくならない限りきっとあり続けると思いますから、この活動をきっかけに来年も再来年も誰かが「M4Rやりたい!」と思えばいつでも実現するんです。たまたま、学校にきたらM4Rやってて→じゃあ昼飯はそれにするか!ってなって→この料理何だろう、どこの国のものだろうって気になって→そこから知識や体験を得ていく。

 

M4Rは気軽に参加できて、難民のことも学べる、しかも美味しくて、何なら自分で企画もできるプロジェクトなんです!もしかしたら、あなたの学校でも、もうすでに行われているかもしれないし、なければあなたが立ち上げることだってできる。ちなみに、私は去年ミャンマー、カチン族の料理「ひき肉のスパイシー炒め:370円」を食べましたが、日本人にも食べやすい味ですごく美味しかったです。

 

 これだけじゃありません、世の中には知らないだけで意外と参加できちゃうような支援ってたくさんあるんです。今回は「美味しく食べて、学んで、支援」という形でしたが、あなたも支援することでハッピーになれて、支援される側もハッピーになれる。そんなウィンウィンな支援をぜひ探してみてくださいね。


 

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