UNICEFネパール事務所 教育部 堀尾麗華さん【後編】

インタビュー
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このたび、VoYJメンバーは、UNICEFネパール事務所を訪問し、国連でトレーニングをしているネパールのユースとのディスカッションフィールド訪問をさせていただく機会をいただきました。VoYJでは訪問の様子をシリーズでご紹介していきます。

UNICEFネパール事務所、教育部の堀尾さんにさせて頂いたインタビューを2回に分けてお伝えしています。

前編では現職に至るまでのきっかけについて伺いました。後編となる今回は、現在UNICEFネパール事務所でのお仕事や実際に働いてみての実感などについて伺いました。

 

現在のお仕事について

 

– 普段どういったお仕事をされていますか

UNICEFネパール事務所の教育部にて、防災・教育プログラム担当官として、緊急援助と「包括的な学校の安全」枠組みの事業に携わっています。

2015年4月、マグニチュード7.8の地震がネパールを襲いました。強い地震とその後の余震で、約9,000人が亡くなり、犠牲者の3分の1は、子どもたちでした。また同大地震で、35,000を超える教室が大きな被害を受けました。地震発生直後から、UNICEFは教育科学技術省やパートナー団体と緊密に連携しながら、仮設学習センターを設置し、子どもたちが学校に戻れるよう学習教材や学校に必要な備品を提供、及び教師に対して子どもたちへの心理社会ケア、命を守るために必要な知識を学ぶ研修を実施しました。4年経った今、最も甚大な被害を受けた14郡にて、UNICEF
が支援した900の仮設学習センター(VoYJメンバーが訪問させて頂いた学校もこのうちの1つです。訪問の様子はこちらで、32,000人の子どもたちが安全に学んでいます。

ネパール政府は、これまで教育の機会平等と質の向上を目指し、いくつもの事業を展開してきました。特に地震後に策定された学校セクター開発計画(School Sector Development Program、2016 – 2023年)のもと、防災及び学校の安全を確保するための目的設定と戦略策定が行われました。ネパール政府は、すべての子どもたちが安全な学習環境にアクセスをできるようにすること、及び学校レベルの災害マネジメントとコミュニティ・レジリエンスを強化することにより、教育セクターの「包括的な学校の安全」枠組み(Comprehensive School Safety 、以下CSS)の構築と防災の主流化を目指しています。UNICEFは、そのようなネパール政府の取り組みを支援するため、ネパール教育科学技術省のCSS基本計画が書かれたCSSマスタープラン(CSS Master Plan)の開発を支援しました。また同マスタープランの主要メッセージを全国に伝えるため、CSSを活性化するためのミニマムな活動が書かれたCSSミニマムパッケージ(CSS Minimum Package)、CSSをどのように実施するかが書かれたCSS実施ガイドライン(CSS Implementation Guideline)、及びCSSミニマムパッケージの重要性を多くの人に知ってもらうための包括的なCSSコミュニケーションと拡散戦略(Comprehensive CSS Communication and Dissemination Strategy)の開発も支援しました。

現在UNICEFは、地方自治体と学校を対象としたCSSミニマムパッケージの拡散、及び同ミニマムパッケージを実施するためのキャパシティー強化を目指しており、これら案件の管理をはじとする仕事を担当しています。

 

 

– 一番やりがいを感じるのはどのようなときですか?また最も印象的な仕事があれば教えてください

今年7月11日から続いた激しいモンスーンの影響で、ネパールは洪水や土砂崩れの被害を受け、約41万人が被災し、そのうち約17万人は子どもたちでした。緊急時であっても、子どもたちが教育を受け続けられるよう支援する政府のキャパシティーを強化するため、教育科学技術省は、政府、UNICEF、その他教育分野で活動する諸団体で組織する教育クラスターを設立しており、UNICEFはセーブ・ザ・チルドレンと共に教育クラスターリード機関の役割を担っています。今回の緊急援助の対応では、同クラスター登録団体から日々送られてくる被害状況や支援状況の情報精査、同情報のデータベース化、及びデータ分析を担当しました。初めての緊急援助の対応で慣れないことも多かったですが、今回の洪水発生時、現在UNICEFが実施しているCSS事業が活かされているとパートナー団体から聞いた時は、現在の仕事に対して強いやりがいを感じました。通常1階で実施している幼児教育を2階に移すことにより、幼児教育で使用するカーペットや教材等が洪水被害に合わないよう事前に対策をしたり、子どもたちが自分たちの勉強道具等を家の高い位置に置くことにより、文房具やノート等が水に浸からないよう取り組んだりしていたことは特に印象に残っています。

防災教育等のソフトな支援は、学校建設等のハードな支援と違い、プロジェクトを実施してもすぐに結果が見えにくく、災害発生時にその真価が問われるものですが、災害大国の日本人として同分野でネパールに貢献出来ることに、やりがいと喜びを感じています。

 

 

 

国際機関で働くことについて

 

 化の違いの中で特別に気をつけていたことはありますか。

世界の何処に行っても、郷に入っては郷に従うということを心掛けています。なるべくその土地の人々と同じ言語を話し、食事をし、洋服をまとうようにしています。その土地の文化等に触れる時、尊敬の念を持って接し、「知りたい」という気持ちを大切にしています。そういった態度は、相手をより深く理解出来るだけではなく、信頼関係を構築することにも繋がります。

 

UNICEFにおける女性のエンパワーメントについてどう思われますか?国際機関で女性として働くことについて実際どう体感されていらっしゃるかお聞きしたいです。ワーク・ライフ・バランスについても教えてください。

実際にUNICEFで勤務してみて、とても働きやすい職場だと感じています。私が所属している教育部の同僚の多くは小さなお子さんがいらっしゃいますが、みなさんフレックスタイム制、自宅勤務、及び有休取得をしながら、上手にワーク・ライフ・バランスを取られている印象です。同僚のこのような多様な働きを見ることにより、今後自分がどのような働き方がしたいかを考える良い機会になっています。

 

 

 

ご自身の展望について

これからこんなお仕事をしたい、こんな世界にしたいという目標や思いがあれば教えてください

これからは、自分の興味・関心がある障がいのある子どもたちの事業に携わることが出来たらと考えています。また人生を通して、SDGsのスローガンでもある「誰一人取り残さない」社会を作っていけたらと思っています。

 

最後にVoYJを見ている若者の読者に対して、メッセージをお願いします。

高校卒業間際、「大学生になったら途上国と呼ばれる国に一度は行ってみたい」と作文に書いてから約10年の月日が経ちました。あの頃の自分は、昔から大好きだった英語を子どもたちに教える英語の先生になることを夢見ていましたが、大学生になりカンボジアへの教育支援活動に携わるという大きな一歩を踏み出してから、常に好奇心を忘れず、自分が興味・関心のある場所に足を運び、人と出会い、頂いたご縁を大切に繋いでいった結果、今の道に辿り着きました。その過程では沢山の葛藤がありましたが、その葛藤と向き合い続け、その時の最善を選択することにより活動し続けることが出来ました。VoYJの読者のみなさんにも、是非人生で一度しかないユースの時間を大切に、自分の興味・関心のあることに思いっきり挑戦して欲しいと思います。

 

 

 

前編・後編に渡ってインタビューの様子をお送りしてきましたが、いかがでしたでしょうか。ご自身のご興味・関心からたくさんの挑戦をされてきたことや、お仕事に対する姿勢や考え方も教えていただきました。堀尾さん、本当にありがとうございました。

 

堀尾様のインターンの経験に関しては、日本ユニセフ協会のHP、及び「国連でインターン」のHPに記事があります。 合わせてお読みください。

日本ユニセフ協会のHPhttps://www.unicef.or.jp/inter/inter_exp39.html

国連でインターンのHP: http://unforum.org/internships/62.html

 


 

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