UNICEFネパール事務所訪問 フィールド訪問

バル・チェタン小学校に建設された仮設学習センター
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このたび、VoYJメンバーは、UNICEFネパール事務所を訪問し、国連でトレーニングをしているネパールのユースとのディスカッションやフィールド訪問をさせていただく機会をいただきました。VoYJでは訪問の様子をシリーズでご紹介していきます。
2本目の記事となる今回は、フィールド訪問の様子についてご報告をしたいと思います。

今回のUNICEF訪問では、仮設学習センターが建設された小学校を見学するという機会をいただきました。この小学校は首都カトマンズから車で約30分のバクタプル郡にあるバル・チェタン小学校で、周辺の地区から24人の子どもたちが通っています。この小学校の校舎は、2015年の大地震で全壊し、被災から1ヶ月後にコミュニティの支援によって、竹を使用した仮設学習センターが建てられました。その後、この小学校は政府に新校舎建設をリクエストしましたが復興には時間が掛かるため、UNICEFとアメリカ合衆国国際開発庁(USAID)の支援によって、現在の仮設学習センターが建設されました。また仮設学習センターだけではなく、災害に強い小学校にするため2日間に渡る防災教育のトレーニングも学校コミュニティを対象に実施しました。このトレーニングを通して、学校における災害リスク管理計画が作られた他、ハザードマップ等のリスクアセスメント、及び地震防災訓練等が実施されました。この小学校には、同トレーニングで考えられた避難地図が貼られていたり、防災に関する意識がとても高いと見て取れました。

 

校舎に貼られた学校の避難地図

現地に着いてからはまず校長先生やスタッフの方から学校の概要に関しての説明をお聞きし、その後実際に校舎を見学させていただきました。

 

幼児教育から日本の小学校4年生相当のクラスまで、実際に先生や生徒さんとお話することができました。幼児教育では英語に触れるような遊びをしていたり、小学校低学年相当の子どもたちが英単語や文法の勉強をしていたりと、英語教育は日本と比較して早い段階で行われていました。

英語のパズルで遊ぶ幼児教育を受けている子どもたち

英語の文章をノートに書き込む女の子たち

また、ネパール語や算数の授業を熱心に受けている様子も見学することができ、教科書も見せていただきました。

ネパール語で書かれたネパールのお話を見せてくれた校長先生

 

幼児教育の教室には乳幼児期の子どもの発達(ECD)キット(ケースを開ければ、どんな場所でも幼稚園が再開できるよう、約25人用のカラフルな知育玩具が詰まっていているキット)がありました。今まで東京都品川にあるユニセフハウスでの展示では見たことがありましたが、現地に届いているものを見るのは初めてで、実際に使われているということを実感することができました。

奥に見える箱がECDキット

ネパールで配布されているECDキットは、1992年から1997年の5年間、日本で生活をされたネパール人女性、ウマ・ラマ・シュレシタさん(以下、ウマさん)によって開発されたものです。ウマさんは日本で生活する中で、日本の教育、特に幼児教育に感銘を受けたと言います。例えば、日本で病院の待ち時間、お母さんが子どもに絵本の読み聞かせをしたり、子どもたちが幼い頃から沢山の絵本や日本昔話のような物語に触れたりしていることに驚いたそうです。また、日本の子どもたちがネパールでは手に入らない沢山の種類の玩具で遊んでいる姿も印象に残ったと言います。ウマさんによると、日本の子どもたちは幼い頃から遊びを通して脳を発達させる機会が多くあると言います。

ウマさん(左)とNIPで勤務する聴覚障害の女性職員

 

この日本での5年間の経験から、ネパールに戻ったウマさんはNational Institute of Psychology (NIP)をカトマンズで設立しました。NIP設立目的の1つが、ネパールの幼児や小学校低学年を対象とした知育玩具の開発でした。2003年からNIPはUNICEFとパートナーシップを組み、ECDキットを開発しました。ECDキットの中には、子どもたちが舐めても大丈夫な素材で作られた積み木、パズル、ドミノ、人形の他、絵本、詩集、歌集等も入っています。ウマさんは、日本での経験がネパールでECDキットを開発するために大きな役割を果たしたと言います。

2015年の大地震がネパールを襲った際は、UNICEFが支援した仮設学習センター全てにこのECDキットが支援されました。その他にも、このECDキットはネパール国内のECDセンターにも置かれています。

この記事掲載にあたり、以下ウマさんからメッセージを寄せていただきました。


私は夫のヨゲシュ・ハリ・シュレシタが文部科学省から奨学金を貰い、愛媛大学で博士課程に進学したことから、日本に渡航する機会を得ました。日本滞在中、私は多くのことを学び、それが今日の私を作っています。日本社会は私にとって開かれた大学のようなものでした。
日本から帰国して、ネパールの子どもたちが自分が開発している知育玩具で遊んでいるところを目にする度に、日本の子どもたちがお母さんたちと玩具で遊んでいる姿を思い出します。私は日本からユニークな経験を持って帰って来たと強く感じており、日本で過ごした一瞬一瞬を一生大切にしたいと思っています。この場をお借りして、私は日本に感謝の気持ちを伝えたいと共に、日本の優しい友人たちが健やかに過ごせるようお祈り申し上げます。

2時間程度の訪問でしたが非常に充実した時間であり、このような貴重な機会をいただけたことに大変感謝しています。


 

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