協力「したい」と「してほしい」が出会う星

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「右耳が聞こえにくいんだよね」

このたった一言がなかなか口に出せない…。

私は右耳難聴なのですが、それを伝えられないことが多いです。そしてその結果、聞こえにくい右側から話しかけてくる相手と無理して過ごすストレスフルな経験を何度もしてきました。

このような「言わなきゃわからない障害」は、困り事を抱える当事者に負担が偏っていると感じます。私の場合、「言い出せない→聞こえにくい」の経験を重ねるうちに、人とコミュニケーションをとるのが嫌になっていきました。本当は話したいのに、しんどい経験をするくらいなら話さない方がましだ、と考えるようになったのです。

 

そんなときに出会ったのが「EMPOWER Project」でした。

私は「協力者カミングアウト」という逆転の発想に可能性を感じ、このプロジェクトへの参加を決めました。EMPOWER Projectの内容については、共同代表の飯山智史さんが書いたこちらの記事が詳しいのでぜひご覧になってください。

ここでは、この取り組みが一体どのような考え方に基づいて、どんな問題をどのように解決するのか、私なりの切り口で整理してみました。

 

1. どのような考え方に基づいているか———社会モデル

1980年代に、障害は「医学モデルから社会モデルへ」と変わりました。端的に言えば、障害は障害者と呼ばれる人の体の中に宿っているという考え方から、社会環境と人との間に存在するという考え方へとシフトしたのです。社会モデルの画期的な点は、従来の「少数派が多数派のために作られた環境に合わせる」というオプションに加えて、「環境が少数派に合わせる」というオプションが増えたところにあります。環境の側も変数になったことでよりよい解決策が出せるようになった、と熊谷晋一郎さんは分析しています。EMPOWER Projectは、この社会モデルに基づいて、社会環境と人の間にある障害(バリア)を減らしていく取り組みです。

 

2. どのような問題を解決するか

私が感じていたようなストレスをはじめとする、「言えない」が故の苦労や困難を未然に防ぎやすくなります。この「言えない」は困っている側だけではなく、言葉がわからない、気恥ずかしい、うまく伝えられないなどの理由で「本当は声をかけたいのに伝えられない」という協力したい側にも当てはまるものです。

 

3. どのように問題を解決するか

困り事を抱える当事者ではなく、協力者が「マゼンタ・スター」のマークを身につけることで、協力したい気持ちを表明します。

マゼンタ・スターは、SDGsの目標10「人や国の不平等をなくそう」の色であるマゼンタ・ピンクを基調とした、上のようなデザインになっています。

これを身につけることにより、協力者は声をかけなくても意思表示ができ、マークを見た人は困り事を伝えやすくなります。「この人は協力してくれそうだ」という安心感がもつ力は意外に大きいことを、あなたもきっと実感するはずです。

言葉でのコミュニケーションが難しい場面では、協力したい人による意思表示を通じてコミュニケーションを促進する。これがEMPOWER Projectの提案です。マークが着「脱」可能であることもポイントで、疲れや気分次第で、協力できそうにない日はマークを身につけないことを選択できます。

この活動の課題は、認知度と普及率を上げることです。

マゼンタ・スターなんて初めて聞いた!という人も、存在は知っていたけれどもそこで止まっていた人も、試しに身につけてみてください。

あなたを見て誰かが昨日より幸せになれたら、すごく素敵じゃないですか。

 

マゼンタ・スターのロゴは、EMPOWER Projectのオンラインショップなどから、バッジやステッカーなど様々なバリエーションでお買い求めいただけます。

 

さらに、EMPOWER Projectは今年も11月24日(金)〜26日(日)の駒場祭(東京大学駒場キャンパス)にブースを出展します!

日程:11月24日(金)〜26日(日)

内容:これまでの活動内容紹介
   EMPOWER Projectのオンラインショップで販売している缶バッジ、
   ステッカー等のグッズ展示
   EMPOWER Projectの紹介動画

みなさまぜひいらしてください。


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