童話世界で新型コロナウイルスが流行していたら? ~3びきのこぶた~

ボイス
+15

東京のとある森の一角で、3びきのこぶたとお母さんが仲良く暮らしていました。1番上のぶたはぶた太郎、2番目はぶた二郎、3番目はぶた三郎という名前です。

その頃から、世界ではおそろしい新型のコロナウイルスが流行していました。
「しめしめ、次はぶたたちが住む森へ遊びに行ってやろう。コロコロコロコロ。」

感染を心配したお母さんぶたは言いました。

「この家はみんなで暮らすにはあまりに狭くて、3密になってしまうわ。一ぴきずつ家を建ててStay Homeしなさい」

そこで3びきのこぶた達は言われた通り、ばらばらの場所へ移動し、家を作ることにしました。

あまりお金がなかったぶた太郎は、辺りに生えていた不潔なわらで家を建てました。しかし、そのわらの家は風が吹くとすぐに壊れてしまいました。

「これじゃあStay Homeすることはままならないよ。世界でウイルスがどうなっているかもよくわからないし……」
ぶた太郎はテレビやWi-Fiを買うお金がなく、十分な情報を得られなかったのです。

「俺のことをなんにも知らないやつがいるぜ。コロコロコロ」

そうしてコロナウイルスがやってきましたが、ぶた太郎は予防の仕方を知らなかったのですぐに感染してしまいました。

一方で、早く遊びに行きたかったぶた二郎は、手早く木の家を建てました。

マスクもせず仲間のぶたと飲みに行ったりパチンコに行ったりしています。
「コロナウイルスなんかちっとも怖くねえよ! 踊ろうぜ、イエーイ!」

しかし、パーティ会場ではコロナウイルスが待ち受けていたのです。

「お前のダンスの相手は俺だぜ、コロコロコロ」

ぶた二郎もぶた太郎のように感染してしまいました。

 

末っ子のぶた三郎は、コロナウイルスに対しての予防の意識が高かったので、通気性抜群の窓がついたレンガの家を建てました。家の中でできる筋トレをしたり、夜には、ほかのぶたがいない時間帯にマスクをしてランニングをしていました。

「ううむ、こいつにはなかなか近づけねえな。コロコロコロ」

ぶた三郎は友だちに会いたい時には、オンラインでおしゃべりをしていました。

「最近どう?」

「そういえばTwitter見たけどお前の兄ちゃんやばくね?」

ぶた三郎があわててTwitterを確認すると、確かに兄と思しきぶたがパーティーに参加してウイルスに感染した動画が拡散されていました。

「え!これ本当に二郎兄ちゃん!?」

さらに、自分のアカウントにまで、知らない人から誹謗中傷のメッセージが次々に届いていました。真実ではないことも書かれており、とても傷つきました。

 

 

ぶた三郎はぶた二郎のことが心配でたまらず電話をかけました。

「二郎兄ちゃんだいじょうぶなの?」

「今ではすっかり回復したから今は家で休んでいるけど、まじでつらいからお前も気をつけろよ。迷惑かけて悪かったな」

「それならよかった。そういえば、連絡ないけど、太郎兄ちゃんってどうしてるか知ってる?」

「てかあいつけっこう金困ってなかった?」

 

そこで初めて、2ひきはぶた太郎の困窮ぶりに気がつきました。

「太郎兄ちゃんのために何かできないかなあ?」

 

2ひきは、頭をひねって自分たちにできることがないか考えました。

ぶた二郎は、自分の体験をSNSで発信し、ぶた太郎に正しい情報を伝えました。
ぶた三郎は、栄養たっぷりの手作りごはんと手作りの布マスクをぶた太郎の玄関前に届けました。

ぶた太郎は弟たちのおかげで健康を取り戻しました。

 

「ありがとう! 僕もこれからできることを探して頑張るよ!」

「うん、これからは3びきで協力しあってコロナ時代を生き抜いていこう!」

 

3びきのこぶたはニュースを見て正しい情報を集め、健康に気を配りながら、コロナウイルスとうまく付き合っていく方法を探し始めましたとさ。

 

おしまい。

 

あとがき

「もしも童話世界でコロナが流行していたら」登場人物はどんな動きをするんだろう? いったい、何を伝えられるんだろう?
ほとんど初めて出会った5人の語り部でたくさんアイデアを出し合い、執筆しました!
対策を取れなかった人が感染するのはその人の責任なのか? オンラインという選択肢は本当に平等なのか? 周りの人のSNSでの接し方は?
コロナが流行するこの童話世界でたくましく協力しあって生きる3びきのこぶたたち、彼らの姿から考えていただけたらと思います!

 

「VoYJ全国ユースおうち会議」についてはこちら

 


 

+15