きらめく音色、マンドリンの世界

あなたの知らない世界
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「高校のときは、マンドリン・ギター部でした」

自己紹介でこう言うと、ときどき「マンドリンギターってどんな楽器なんですか?」という質問が。

「いえ、マンドリンギターという楽器があるわけではなくて。マンドリン合奏にはギターパートもあるから、マンドリン『・』ギター部なんです。マンドリンというのはもともとイタリアの楽器で、形としては日本でいう琵琶にちょっと似た感じの…」

やっぱりよく知らないという方のなかでもひょっとしたら、テレビや絵を通して無意識に、楽器を見たり、音を聞いたりしたことがある方は多いのかもしれません。

でもやっぱり、多くの方にもっと深く知ってほしい!ということで、今日は私の大好きなこのマンドリンという楽器について、みなさんにご紹介したいと思います。

 

私がマンドリンに出会ったのは、高校の部活選びのときでした。

楽器体験ができるということでふらっと立ち寄ったマンドリン・ギター部の居心地がとても良く、その数日後、部室でのミニコンサートに行きました。

そこで聴いたのが、「コバルトブルーの奇跡 〜旅立つ君へ〜」というこの曲。

 

マンドリン独特のきらきらした音色で奏でられるのは、透明感あふれる美しい旋律とドラマチックなテンポの移り変わり。10分を超える曲なら大体いつも途中で飽きるのに、すっかり引き込まれて聴き入ってしまいました。こんな曲が合奏できるようになるなんて、いいな、素敵だなと憧れたのが始まりです。

そこから丸2年、部活を引退するまで、たくさんの曲を合奏しました。はじめの頃はマンドロンチェロを担当し、半年ほど経ってからはコントラバスも弾くように。それまで取り組んだことのあるピアノやオカリナは、あまり演奏できるようにならなかった、というかそもそも練習を続けられてすらいなかったのに(笑)。

 

私の担当楽器の話を先にしてしまいましたが、ここで楽器の種類と演奏方法についていくつか。

マンドリン合奏に使われるのは、多くの場合、マンドリン、マンドラ、マンドロンチェロ、ギター、コントラバスの5種類です。曲によってはここにときどきフルートや打楽器など、他の楽器が加わることもあります。

名前からもわかるように、はじめの3つがマンドリン属の楽器で、それぞれ音域と大きさが違います。バイオリン、ビオラ、チェロ(ビオロンチェロ)を想像するとわかりやすいかもしれません。あとの2つは名前通り、普通のギターとコントラバスです。

最初に載せた写真に写っているのが、これまで私が弾いた3つの楽器です。中央のマンドロンチェロと右のコントラバスが、先ほどお話しした高校時代に弾いていたもの。左のマンドリンは、部活を引退してからやっぱり家でも弾きたくなって、買ったもの。

パート分けもバイオリン属の楽器に似ていて、マンドリンのみが1stと2ndに分かれた合計6パートで演奏しています。

 

コントラバスを弾くのには写真にも小さく写っている「弓」を使いますが、マンドリン属の楽器を演奏するときには「ピック」と呼ばれる道具を使います。ギターピックなら馴染みがある、という方も多いかもしれませんね。マンドリン用のものも似たようなもので、実際ギターピックを使って弾くこともできます。

そのピックを使って一音ずつ単純に弦をはじくのが「ピッキング奏法」、ピックを上下させることで同じ音を長く出すのが「トレモロ奏法」。はじめに紹介した「コバルトブルーの奇跡」も、この2つを使い分けつつ演奏されています。

マンドリン演奏に使うピックいろいろ(下段中央はギターピック)

 

マンドリン合奏で演奏されるのは、マンドリンのために作曲された曲ばかりではありません。「明日はきっといい日になる」「Lemon」といったJ-Popの曲から「美女と野獣」「I Could Have Danced All Night(踊り明かそう)」などの映画音楽まで、高校の頃はむしろこちらをたくさん演奏しました。

普段聞く曲がマンドリンで演奏されると…?ということで、2曲ほど動画を紹介します。

 

もとの曲がきちんとカバーされつつも、マンドリンならではの表現や音の重なり感が出ているところがとても素敵で、聴くたびに「ここ、いい!」「このフレーズ、弾いてみたい!」と思えてきます。現実的には難しすぎて弾けないこともよくありますが…

 

さて、ここまでは合奏の話ばかりしてきましたが、もちろん独奏の曲というのもあります。たとえば《ドン・ジョヴァンニ》というオペラの中の歌 “Deh, Vieni alla Finestra(窓辺に来たれ)” の音楽はマンドリン一本によって演奏されます(歌が入っているという意味では完全に独奏とは言えないかもしれませんが)。

そして次の動画の「Jump!」は正真正銘、マンドリン一本だけで成り立っている曲。とても華やかで、まるで伴奏がついているかのようですが、独奏です。

 

強弱の付け方やテンポの良さがとても印象的。途中の速いフレーズを含め、弾けたらかっこいいなと思って少しだけ練習してみたことはあるのですが、スピード的な意味でも、スキル的な意味でも、私にははやすぎました(笑)。

 

いくつか動画を紹介しながらマンドリンの魅力についてお話ししてきましたが、機会があったらぜひ聴いていただきたいのが生演奏。もちろん動画でも曲の美しさは伝わってきますが、実際に演奏が行われているその場で曲を聴くと、音のきらめき、強弱のコントラストなどなど、たくさんの要素がより耳に迫って聞こえてきます。実は日本は本場イタリアをも凌ぐマンドリン合奏大国(!)なので、各地にマンドリン演奏の団体が。ご興味のある方はぜひ調べてみてくださいね。

今回ここまでこの文章を読んでくださったみなさんに、少しでもマンドリンの魅力を感じ取っていただけていれば、これほど嬉しいことはありません。

楽しいことがあったとき、ちょっと疲れたとき、リラックスしたいとき。いろいろなシーンで聴く音楽の選択肢の一つとして、マンドリンの音色を取り入れてみませんか。


 

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