自分の信念と何をしたいのかをしっかりと考えること -UNICEF東京事務所でのインターン-

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私の最初の将来の夢はアンパンマンでした。それがセーラームーンになり、小学生の頃は小児科医、中学生の頃は弁護士でした。高校生になったら、何になりたいのか分からなくなりました。「とりあえず、人のためになる仕事」と思っていました。曖昧な目標だったため、進路には悩みましたが、海外の大学に行くことにしました。

ありがたくも、大学生の時に国連本部に行く機会がたくさんあり、世界の沢山の人のために働いている人を見て、単純に、かっこいいな、と思いました。同時に、国際政治を勉強したり、国連のいろんなアジェンダを学んでいくと、国連というのは完璧な組織ではなく、たくさんのジレンマを抱えていることが見えてきました。加盟国は国益を重視していますから、いくら国連職員や市民社会が頑張ってもうまくいかないことがあるんだなあ、と少し悲しくなりました。

そんな中「子どもの権利条約(Convention on the Rights of the Child: CRC」について学ぶ機会があり、CRCの締約国は国連加盟国より多いことを知りました。ある時、とある国の大使が「『子どもの権利』というアジェンダはどんな政治的なしがらみも感じずに、どの国も重要だと感じるとてもパワフルなアジェンダだ」と仰っているのを聞いて、鳥肌が立ちました。

私は小学生ながらに小児科医になりたいと言うほど無類の子ども好きで、この大使の言葉をきっかけに、子どものために国際的に働ける人になりたいと思うようになりました。そのためにも実力をつけるため、大学を卒業し、アメリカにあるコンサルタント会社で勤務経験を積んで、大学院でさらに勉強をしようと決意しました。

大学院に行くまでの間、国連の中でも子どもに特化した機関であるUNICEFの東京事務所でインターンをさせていただくことができました。UNICEF東京事務所は、UNICEF本部の一部であり、主に日本政府とUNICEFを結ぶ窓口として日本政府との連携強化を担当しています。インターンの業務などは、日本ユニセフ協会のインターンの皆さんと対談を行い、そちらでも紹介させていただきました

私は、パートナーシップ・アドボカシーチームのインターンとして、UNICEFが行なっているプログラムを紹介したり、UNICEFのニューヨーク本部からの幹部と日本政府との協議に向けたお手伝いをさせていただきました。UNICEF4年ごとに戦略計画を発表していて、2018年は新しい戦略計画が策定された年でした。この戦略計画を紐解く中で、UNICEFは教育、保健、水・衛生、環境、子どもの保護など幅広く活動していることを日々の業務で学ぶことができました。

日々、世界中で子どもたちが直面する状況を学びながら、日本政府に向けて情報を発信するお手伝いをさせていただく中で、以前大使がおっしゃっていた「子どもはパワフルなアジェンダだ」との言葉を思い出していました。これだけ多くの国が子どものアジェンダを大事にするのは、子どもを大事にする共通認識に加えて、UNICEFUNICEFと一緒に働いているような人々の努力もあるのだ、と。

UNICEF東京事務所で働く皆さんは、UNICEFに限らず世界中の様々な現場で子どもと接し、子どものために働いた経験を持っている方々でした。子どもへの情熱を持ちつつ、その情熱をプロフェッショナルとしてお仕事に注がれている姿を見て、私もこの人たちのようになりたいと思いました。

さらに、UNICEFは子どもだけではなく若者もとても大事にしてくれる機関だと思いました。私自身、インターンとしてUNICEFに貢献できることはほとんど無いにも関わらず、多くの業務にチャレンジさせていただける環境でした。

国連や国連機関が成功した事例はなかなかニュースで見る機会はなく、インパクトを可視化するのが難しいお仕事だと思っています。それでも、「子どものために」との信条を持って日々業務にあたり、私のような目の前にいる悩める(?)若者を全力で応援してくださるUNICEF東京事務所で働く職員の皆様に出会えたことが、インターンにおける何よりの成果でした。

私は今、大学院で勉強をしています。将来の夢はアンパンマン+セーラームーン+医者+弁護士の要素を少しずつ合わせて、日本や世界中の子どもの笑顔を目的とした仕事をすることです。それが国連であるかどうかは、さらに勉強して悩む必要があると思っています。現国連事務次長・軍縮担当上級代表の中満泉さんが著書『危機の現場に立つ』の末尾に、「自分の信念と何をしたいのかをしっかりと考えること」と若者に向けておっしゃっています。私も自分の信念と何をしていきたいのかをはっきりさせて、それを発揮できる実力をつける日々を送りたいと思っています。

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