僕の背中を押してくれる映画

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何をやってもうまくいかず、挑戦するのが嫌になってしまいそうな時。周りに認められず、自分に自信が持てなくなった時。誰しもが経験するそんな瞬間に立ち会った時、僕は映画の世界に救いを求めます。これまで僕が出会ってきた映画の中で、僕の背中をそっと押してくれた大好きな映画についてお話しさせてください。

映画の題名は、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』。アカデミー作品賞を受賞したこの作品は、売れない役者がかつて手にした名声を再び得ようと再起を試みる物語です。この映画の素晴らしいところは、綺麗事を一切言わない潔さと、それでいて現実を生きる僕たちに希望を垣間見せてくれる優しさです。過去の栄光の残像に魅せられ続け、周りに嘲笑されようと「自分はあの頃の輝きを取り戻せるはずだ」と必死にもがく主人公の姿は、この映画では過剰なまでに滑稽に描かれています。実際初めてこの映画を見たとき、僕は「なんだか冴えない主人公だな」という印象を抱きました。歯を食いしばって努力を重ねる主人公は普通だったら美しく描かれるものなのに、どうしてこの映画の主人公はこうもパッとしない描き方をされているのだろう、と。その時ふと気付いたのです。もしかしたら、「何かに必死に取り組む姿は美しい」というのは、思い込みなのかもしれないと。何かに向かって努力する姿とは時には人の目に泥臭く、みっともなく映るものなのかもしれないと。途端に厄介なしがらみから解放されて、心がふっと軽くなる感覚を覚えました。思えばこの映画に出会うまで、僕は何をするにつけても「周りの人はどう思ってるのかな」「僕はどんな風に見えてるのかな」と考えてしまっていました。「みっともないと思われていたくない」という思いがそうさせていたのだと思います。でもこの映画に「周りの目にお前の努力は美しく映っているはずだ、なんて考えは単なる自己満足なんじゃないか?」と諭されているように感じてから、情けない滑稽な姿と捉えられても仕方ない、でも辛い時にも状況を打破する努力を続けようと考えることができました。この映画は胸に突き刺さるメッセージを提示してくれるだけでなく、暗闇で悩む人に光を投げかけてもくれます。泥臭くもがき続ける主人公を追い続けた末に迎える驚きのラストは、息をのむ感動を届けてくれるとともに思い悩んでいた僕の心に希望を吹き込んでくれました。

僕は、潔さと優しさを兼ね備えたこの映画に今まで何度も救われてきました。「もがき続けた末に、いつか羽ばたけるかもしれない。」そう思わせてくれる作品です。


 

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