UNICEFマラウィ事務所 子どもの保護担当官 中谷菜美さん 【前編】

ゾンバ県のチャイルド・フレンドリー・スペースの視察中に子どもたちと©UNICEF Malawi /2019/Nami Nakatani
インタビュー
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UNICEFマラウィ事務所子どもの保護担当官・中谷菜美さんのインタビューを全2回に分けてお送りします。このインタビューはVoYJ「世界子どもウィーク」の特別企画として実施しました。子ども・ユース時代にはじまり、今までのキャリアやマラウィ事務所でのお仕事、若者へのメッセージについてお話を伺いました。前編の今回は、UNICEFで仕事をするまでのキャリアについてお届けします。

 

<インタビュアー自己紹介>

かな:大学4年生。VoYJ代表。夢は世界の子どもたちに笑顔を届けること。

 

きさの:大学1年生。VoYJ編集部員。世界中のいろいろな姿を目で見て、肌で感じたい。

 

かげしゅん:大学3年生。VoYJ編集長。自然が好き。日々の出来事を大切にしたい。

 

一同:今日はよろしくお願いします。

 

中谷さん:よろしくお願いします。中谷菜美と申します。

 

現在UNICEFマラウィ事務所で子どもの保護担当官(チャイルド・プロテクション・オフィサーとして働いています。外務省のJPOプログラム(*1)で派遣されて、もうすぐ丸2年になるところです。

簡単な自己紹介となりますが、学部時代は国際関係を勉強し、卒業後は日本赤十字社に入社して5年ほど勤めました。その後イギリスの大学院に行って子どもの保護と子どもの権利を勉強して、UNICEFウガンダ事務所でインターンを3〜4ヶ月したあと、JPOプログラムでUNICEFマラウィ事務所に派遣されました。

 

かな:では、早速質問させていただきたいと思います。

 今回のインタビューは、VoYJ「世界子どもウィーク」の特別企画として実施させていただいているのですが、中谷さんの子ども・ユース時代について教えていただけますか?

 

小学校の先生をしていた父と福祉関係の仕事をしていた母の影響で、人のために役立つ仕事をしたいなと思っていたことと、海外旅行好きな祖父母の影響で持った海外への関心から、国際協力にぼんやりとした興味を抱いていた子ども・中高生時代だったと思います。

通っていた英会話教室の先生の妹さんがUNESCOで働いていたので、その方に国際機関についてのお話を聞いて、その時初めて国際協力という世界を知りました。その頃から国際協力をしたいという思いが強まったように思います。大学に進学するときには、その時の思いがあったので国際関係の学部を選択しました。 

 

かな:身の回りの方の影響を受けながら、国際協力の道を選ばれたのですね。

 大学のお話がでましたが、大学生活についてお聞かせいただけますか。

 

大学は、筑波大学の国際総合学類という国際関係と開発協力が両方学べる学部に進学しました。北海道から沖縄まで、日本全国から国際協力を志す個性の強い学生が集まっていて、留学をしたり、一年休学して海外に旅に出たり、海外インターンに行ったり、海外に積極的に出かける学生が多く在籍する学部でした。良い環境でたくさんの刺激を受け、スペインに交換留学をして現地の大学に通ったり、内閣府主催の東南アジア青年の船(*2)をはじめとした様々な国際交流プログラムに参加したりして、いろんな国の人のいろんな価値観に触れることができました。大学生活では、自分の枠を広げ、視野を広げる経験をたくさんできたと思っています 。

 

かな:日本赤十字社に入った理由とお仕事について教えて下さい。

 

自分の将来について、就職活動の時は、新卒で5年ぐらい働いて、その後大学院に入って修士を取り、最終的には国際機関に行きたいと考えていました。だから、その目標に繋がる企業を探す形で就職活動をしていました。

 

また、自分が就職活動をしていたのは東日本大震災が起きた2011年だったので、海外への支援だけでなく、日本のためにも仕事をしたいという思いがありました。そのため、日本で働きつつ災害時の救援活動や国際協力事業もできる日本赤十字社に入社しました。

日本赤十字社は、人道支援を目的としていたため、人道支援がどのようなものかを知ることができたり、世界各国の赤十字社と一緒に働いたりできたのがすごく面白かったです。

最初の2年間は東京都支部で、赤十字のサポーターとして活動してくれる大学生ボランティアの皆さんを支援する仕事をしていました。

日本赤十字社の国際活動には、災害があった時に医療従事者を派遣するという緊急救援と、他の国の赤十字社と協力して行う開発協力事業があります。私は東京都支部での仕事の後、開発協力を担当する部署で3年ほど、インドネシア・ネパール・ベトナムの防災事業を担当していました。

 

かな:その後なぜイギリスの大学院に進学されたのですか?

 

2015年にネパールで大きな地震があり、その後の復興支援につなげていくための企画や、現地の調整業務を担当することになりました。その時に、日本赤十字社から医療従事者とともに現地に派遣していただき、医療支援にあわせて子どもにやさしい空間(child friendly space)と言う子どもが安心して遊ぶことのできるスペースを作って、災害を経験した子ども達への心理社会的支援をする活動にも関わらせていただきました。

この活動を通して自分が将来やりたいことが見えた気がして、UNICEFで働いた経験がある先輩職員に、「弱い立場にいる子どもをエンパワーメントするような仕事がしたいんです」と話したところ「それができるのはUNICEFかもしれないよ」とアドバイスをもらい、そこからUNICEFの仕事について調べるようになりました。 調べていくうちに、私のやりたいことはチャイルド・プロテクション(子どもの保護)という分野に当てはまるのではないかと思い、キャリアをシフトしていくこと、大学院に行くことを考え始めました。

イギリスの大学院を選んだ理由は、国連では英語での業務になると思ったので、英語でしっかり学んでみたいなと思ったからでした。イギリスの大学院は1年間なので、経済的理由からも選びやすかったです。

 

かな:イギリスの大学院での学びについて教えて下さい。

 

チャイルド・プロテクションという分野は、法律に関する側面や、ソーシャルワークの側面、心理の側面など、いろんな側面から包括的に子どもを支援する必要のある分野ですが、中でも法律の改正を政府に対して啓発していくような仕事もあるため、法律をバックグラウンドとする人も多いです。

私が選択したのは、法律、医療、ソーシャルワークなどの分野の実務家である先生方からチャイルド・プロテクションを包括的に学ぶプログラムでした。日々の実務を通して、まだまだ学ぶことが多くありますが、いろんな側面を持つチャイルド・プロテクションを包括的に勉強できたという意味では、すごく今の仕事のベースになっていると感じます。またあわせて、UNICEFの仕事の根本であるチャイルド・ライツ(子どもの権利)の知識も身につけられたのはよかったなと思います。

 

後編では、UNICEFマラウィ事務所でのお仕事について掲載します。

合わせてお読みください。

 

(*1)JPO(Junior Professional Officer)制度:各国政府の費用負担を条件に国際機関が若手人材を受け入れる制度。日本でも外務省を含む複数の省庁が、国連をはじめとする国際機関に派遣を実施している。JPOの審査は書面と語学審査の2段階に分かれる。 

(*2)「東南アジア青年の船」事業内閣府青年国際交流事業の一つで、日本と東南アジア10カ国の青年が集まり、船内で共同生活をしながら、ディスカッションや文化交流等を通して、異文化対応力やコミュニケーション力を高め、リーダーシップ等の向上を図るプログラム。


 

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