Human Rights Watch 東京オフィス 吉岡様インタビュー

インタビュー
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こんにちは、VoYJ3年の植田です!この度、Human Rights Watch(※1)(以下HRW)東京オフィスで主に国内における人権問題への対応を行っていらっしゃる、吉岡利代様にお話を伺いました。幼い頃から海外経験を積まれてこられた吉岡様のお話は、僕たちに今後の人生について深く考えるきっかけを与えてくださいました。

 

吉岡様のユース時代について教えてください。

小学校の時ルワンダ虐殺(※2)のニュースを見てから、国際協力に対して漠然とした興味を抱き始めました。また中学時代に直面した「派閥」「同調圧力」といった風潮に対し、「何で1人1人は違うのにそれが認められないのだろう」と反発を覚えていました。この頃の違和感は、現在でも私の活動の原点となっています。高校進学時に親の転勤の都合でアメリカの高校に進学したのが転機となりました。「自分が人とどう違うのか」が問われ続ける、多様性を尊重した環境に親しみを覚えるようになりました。

大学時代には、「沢山の人に会って直接話を聞く」ことを心がけていました。様々な人にアポをとったり、イベントに参加したりすることで、視野が広がっていくのを感じました。ユースにとって「会いたい」と思った人に会う、「やりたい」と思ったことをやるのは大事だと思っています。

卒業後は「将来的に国際協力に繋がる仕事を、新卒として育ててくれる企業で経験したい」という思いのもと、日本に帰国し、金融会社の調査部で2年間勤務しました。その後国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)でインターンとして1年弱勤務しました。「もっと自分に力をつけたい」という思いを持っていた際、HRW東京オフィスの立ち上げに参画する機会と巡り合いました。以来現在に至るまで10年間、HRW東京オフィスで人権問題の調査・国連や政府への提言を行っています。業務を行う中で「人の内面」に興味を抱くようになり、2年前には心理学的アプローチによる紛争解決を大学院で学びました。

 

様々なキャリアを積まれてこられた吉岡様ですが、キャリア選択において重要視されている考え方はありますか?

「誰と一緒に働いているか」を重視しています。リーダーの目指す方向に納得できるか、それにワクワクできるかを大切にしています。団体がどんなヴィジョンを持っているのか、自分はそれに共感できるかも基準にしながらキャリアを選んできました。

 

吉岡様がキャリアにおいて「自分らしくいられている」と感じるのはどのような時ですか?

「自分が楽しいと思える時」が自分らしく働けている時ですね。お互いをリスペクトしながら相乗効果を生み出せている感じが持てると楽しいです。

 

国連で働くこととNGOで働くことの違いは何ですか?

NGOで働くと、よりフットワークが軽く、縛られない働き方を実現することができると感じています。活動における柔軟さ・現場との「近さ」も魅力ですね。国連・メディア・NGOなど、それぞれ補完的な関係にあって、独自の強みがありますし、HRWでは国連やメディアから転職してきた人、転職していく人もたくさんいます。ただこれも自分自身の意見にすぎないので、色々な人に話を聞くと良いと思います。

個人的にはこれからもHRW東京オフィスで働いて、日本を変えることで問題を解決するというアプローチを取りたいです。

 

国際社会に貢献する際、海外で働くことと日本で働くことの違いは何ですか?

「日本にいるか」「海外にいるか」という差異は無くなってきているのではないかと感じています。より重要になるのが、「誰と働くか」「なぜ働くか」という尺度ではないでしょうか。

 

壁に当たった時、どう対処されますか?

仲間に支えてもらいます。家族・同僚・先輩にアドバイスをもらいますね。信頼できる仲間にアドバイスをもらうのは大事だと思っています。また、壁を感じる時、意外とそれは自分一人の壁ではなくてみんなの壁だったりします。「自分だけの壁」と思い込まず、同じように悩んでいる人もいるかも知れないと考え、「何が壁となっているのか」を理解してその壁自体を取り除いていく努力ができたらと思っています。

 

声の届きにくい人へのアプローチという面で気をつけていることは何ですか?

「100%理解することはできない」という謙虚さを持った上で、相手の立場に立ってできる限り想像力を働かせるようにしています。結論を急いでも良い事はありません。「自分たちの目的のために相手から搾取する」という構造には絶対にならないように気をつけています。

 

(参加メンバーのコメント)

・「海外で働くことと日本で働くことの差はこれからどんどん縮まっていくと思う、『どこで』よりも『なにを』するかだ」という言葉が印象に残りました。自分がよりワクワクする方に向かい、やりがいを感じて「楽しい!」と思えていることを追求するのが、何よりも大切なのだと思いました。また、「壁を感じる時には、意外とそれは自分一人の壁ではなくてみんなの壁だったりする、理解して壁自体を取り除いていく」という言葉に感銘を受けました。吉岡さんから受け取った、人を大切にすることが何よりも大切であり、そのために想像力を働かせよう、というメッセージを心に刻み、「みんなちがってみんないい」世界に貢献していきたいと思います!(サクラコ)

・吉岡さんの一言一言から、常に自分と周囲の人々を大切にお仕事をされている様子が伝わり、強く心を動かされました。私も、全ての違いを完全に理解することはできないという謙虚さを持ちつつ、苦しい立場にいる誰かに寄り添える人間であり続けたいと、気持ちを奮い立たせています。とても魅力的なお話を、本当にありがとうございました。(利佳)

・お話を伺うなかで、吉岡さんの素敵なお人柄と強い想いがたくさん伝わってきて、幸せな気持ちになる時間を過ごせていただきました。同じヴィジョンを持つ仲間たちと、リスペクトし合いながら、目指す共通の世界に向かって頑張ることの大切さや素晴らしさを改めて感じ、自分の今いる環境にも感謝しながら、努力していきたいなと感じました。これからも謙虚でありながら豊かな想像力を持って、「誰一人取り残さない」世界のために、生きづらさを抱えている方々に寄り添えるような人でありたいと強く思いました。素敵なお話を、心からありがとうございました。(さとし)

・吉岡さんは、相手のことを「『100%理解することはできない』という謙虚さ」を持つことの大切さを教えて下さいました。他人と触れ合う中で分かり合えずに悩んでしまうことも多々ある中、自分なりに相手のことを慮って行動するのが正しい姿勢なのだと気付きました。吉岡さんのお言葉を意識しながら、様々な境遇にいる人たちの支えになるに自分には何ができるのか考えながら行動していきたいと思っています。貴重なお話、本当にありがとうございました!(植田)

 

※1:https://www.hrw.org/ja

※2:1994年、アフリカのルワンダでフツ族により少数派のツチ族が虐殺された事件。およそ80万人のツチ族が殺害され、フツ族穏健派も被害を受けた。
https://www.bbc.com/news/world-africa-26875506


 

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