架け橋になりたい

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私の小さい頃からの夢は、教師になることでした。

素敵な教師との出会いに恵まれ、教育を受けるということは、未知のものに出会い、自分の世界が広がるということ、と子どもながらに感じ、それを教育の大切さと捉えていたからでした。

ある時、ふと世界に目を向けてみると、教育を受けられるということは当たり前ということではなく、むしろそれだけで恵まれているということに気づき、世界には教育を受けられない子どもたちがたくさんいるということにショックを受けました。この時から私の夢は世界の子供たちに質の高い教育を届けることになりました。

そして、しばらくして素敵なロールモデルに出会いました。マララ・ユスフザイ(Malala Yousafzai)さんです。

国連児童基金(United Nations Chirdren’s Fund:UNICEF)の報告によると世界の学齢期(一般的には小学校学齢期:6歳から11歳、中学校学齢期:12〜14歳)の子どもの11.5%にあたる1億2300万人が未だに学校に通えていないと言われています1)

日本の人口が1億2700万人程度と比較してもかなり深刻な状況であることがわかります。

その半分以上を占めるのは女の子。教育を受ける機会から遠ざけられている女子のために立ち上がった一人の女の子、マララ・ユスフザイさんの

One child, one teacher, one book and one pen can change the world. Education is the only solution.
(1人の子ども、1人の先生、1冊の本、1本のペンで世界が変わります。教育こそがただ一つの解決策なのです。)

という言葉は非常に印象的です。

 

では、質の高い教育を全ての子どもたちに届けるには何が必要でしょうか。学校の建設、建設用地の確保、優秀な教師の配置、道路の舗装などなど…。障害となるのはこのようなハード面だけではないはずです。

もっと掘り下げて考えてみると違った問題が浮上してきそうです。女の子は学校へ行かず結婚すべき、子どもは家族のための労働力となるべきという価値観の存在。このような社会的問題とともに、学校に行きたい(行かせたい)けどもお金がない、いう経済的問題もありそうです。まだまだあげればきりがありません。

 

ここでは私の最近の関心分野である健康と教育の関係について詳しく書いてみようと思います。私が教育と健康が密接に関わっていると気づくきっかけになったのは、国連世界食糧計画(World Food Programme:WFP)の学校給食プログラムでした。

WFPは世界の子どもたちに朝食もしくは昼食、または両方を提供しています。2016年には、世界60カ国の1640万人もの児童に学校給食を直接届けたそうです。技術提供を通じて支援した児童の数は4500万に上るとされています2)

学校給食によって子どもたちの健康状態が改善されるのはもちろん、親が子どもの登校を促すきっかけとなったり、学業成績が上がったりという報告までもあります。このように、給食一つとっても教育に及ぼす影響は計り知れないものがあります。

一方で、世界の子どもたちの健康を改善するカギは、教育が握っていると言われています。

しかし、UNICEF、世界保健機関(World Health Organization:WHO,)、世界銀行の報告によると2017年においても依然として世界の5歳未満児6億6900万人の22.9%にあたる1億5500万人が発育阻害であると言われています3)。このような健康状態の悪い子どもはそもそも学校に通って教育の機会にありつくことはできません。

このように健康と教育は相互依存の関係にあります。私は、健康と教育という2分野の架け橋になりたいと考えています。

例えば、空腹で授業に集中できない子どもたちや栄養状態が悪く教育を受けられない子どもたちに栄養面から支援し、教育を受けてもらう。そして、栄養・衛生・健康について学んでもらう。また給食目当てに学校に来る子どもたちに学校で健康診断を受けてもらう。そんなことができたら相互依存の関係にあった健康と教育はお互いにポジティブな効果をもたらしそうです。

 

健康と教育は一見異なる分野であるように感じます。

けれども、先ほど述べた例からもわかる通り、世界で実際に起こっている問題は様々な要素が複雑に絡み合っています。複数分野の知識を合わせ持った架け橋となる人材が求められるのです。

知識を十分に持ち合わせていなければ、専門家と専門家を結びつける人となればいいのです。

皆さんも異分野をイノベーティブにつなぎ合わせて世界の問題に取り組んでみませんか?


1)https://www.unicef.or.jp/news/2017/0182.html
2)http://ja1.wfp.org/school-meals
3)http://www.who.int/nutgrowthdb/estimates2016/en/

 

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