「ブルー」の世界の物語 〜ダイビングに魅せられて〜

あなたの知らない世界
+15

「せーのっ!!」

雲ひとつない青空。澄み切ったコバルトブルーの海。真夏の太陽が照りつけるその海は、これからその世界を覗きに行こうという我々を歓迎するかのように光り輝いている。威勢の良い掛け声とともに、ボートから海に飛び込む。

 

とまあ青春小説チックな出だしで始まったこの記事ですが、今回は私が愛してやまないスキューバーダイビング、そして青い海の世界の魅力をお伝えしていきたいと思います。それではみなさん、私と一緒にいざ!海の世界へ!!(想像力は無限大です!!笑)

 

BC1の空気を抜きながら、少しずつ、少しずつ海の世界へ。不思議なものです。海へ入ると、考え事をすることもなくなり、目の前に広がる大海の景色に夢中になってしまう。聞こえるのはかすかな呼吸の音だけ。これが圧倒される、ということなのでしょう。

 

海の世界は、いつも私たちが生活する空間とはまるで違う環境です。この世界で空がどこまでも続いて見えるように、延々と広がる青い海。360度どこを見回しても青!!知らない世界(それこそ、「あなたの知らない世界」ですよね!)に迷い込んだような不思議な、新鮮な感覚。時には自分が空を飛んでいるんじゃないかという感覚になることもあります。

体を慣らしながら少しずつ深いところへ潜っていくと、また新たな出会いが待っています。

技術や条件などにもよりますが、時には水深20m以上という日常からは想像もできない世界での冒険ができます。一面に広がるサンゴ礁や海中洞窟といった、自然の力が作り上げた独特の地形。そして何と言っても魅力的なのが、たくさんの生き物との出会いです。

こちらの写真はみなさんご存知(?)、映画『ファインディング・ニモ』を想起させるカクレクマノミ。他にも色とりどりの魚たち、ジンベイザメやマンタなどの大物に出会えることも。深く潜り、サンゴと同じ目線で(サンゴ礁が地面のように感じられるんです!)こうした生き物たちと触れ合うことは、水族館では決して味わえない、ここでしかできない体験です。

 

ダイビング中は、眼前の光景に目を奪われて前ばかり見てしまうことが多いのですが(まるで人生のごとく!!!キリッ)ふと上を見上げると、また全然違った光景が広がっています。水を通じて見上げる太陽。ウミガメに出会えることも。ああ、今自分は海の中で生きているんだなあと自覚する瞬間。まるで自分が海の生き物になったかのような不思議な感覚に襲われます。

海と、そして大自然と一体化しているうちに気づけば陸の世界に戻る時がやってきてしまいました。エラを持たない私たちが海の世界にお邪魔できるのは、ボンベに空気が詰まっている間だけです。陸に上がると、自分がどこにいるのか、今がいつなのかを少しの間忘れてしまいます。あまりに大きな海の中に魅了され、時間と我を忘れて夢中になれる時間。全てが新しい青の世界。本当に大袈裟でもなんでもなく、人生が変わる体験です。

 

海の色は、潜る場所によって全く異なります。(この記事の写真も全部違う場所で撮ったものなんですよ!)深青、紺碧(こんぺき)etc. とまあ日本語には海の色を表現しようとした美しい表現がたくさんあります。しかし、ダイバーたちはあまりに豊かな、個性的な表情を持った海への敬意を込めて「〜ブルー」(たとえば田子ブルー、宮古ブルー、といった具合で)と呼びます。決して類型化されることのない、たった一つだけの、かけがえのない姿です。

 

いかがでしたか?大自然が織りなす「ブルー」の世界、いつかぜひ味わってみてくれたらダイバー(兼ライター?)冥利につきるところです。月に行かなくても、インドに行かなくても(?)、人生が変わる機会って意外と近くにあったりするんです。

 

1救命胴衣のような形をしたダイビング用のジャケット


 

+15