国際女性デーを前にHeForSheについて考えてみた

この日なんの日
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最近、ジェンダーが話題に上がる機会が多くなってきました。

 

皆さんは、国連女性機関(UN Women)によるHeForSheというイニシアチブを聞いたことはありますか?

 

2014年9月20日、潘基文国連事務総長(当時)とエマ・ワトソン UN Women 親善大使が発表したものです。その後、各国首脳やCEO、世界的な著名人、そして世界中の人々が、HeForSheを通じてジェンダー平等へのアクションを取っていくことを表明しました。

 

HeForSheは、ジェンダー平等についてただ議論するだけではなく、人々がつながり、話し、アクションにつなげていくことによって、世界を変え、ジェンダー平等を実現するプラットフォームを目指しています。1)

今日は、3月8日の世界女性デーを前にHeForSheについて個人的に考えてみたことを書いてみたいと思います。

 

ジェンダー平等と聞いて、みなさんはまず何を思い浮かべるでしょうか。

 

私にとって身近なところで言えば、私の通う大学には男女の人数の差はあり、例えば私の学科では119名のうち女性は23名です。このように数値で表せるもに目を向ければ、道のりは遠く、まだまだ議論すべきことが残されています。その一方で、私たちユース世代で周りを見渡すと「女性は家を守るべき」などのジェンダーに基づく価値観に縛られていると感じる人は少なくなってきているように感じます。そのため、若者世代の私にとって、最近の、「女性の権利の保護・促進」という当初の目的から少し離れたジェンダーにまつわる議論には、少し違和感を覚えることがあります。むしろ女対男といった二項対立の構造でものを見ることはどんどん少なくなり、ジェンダーを超えた多様性を、当たり前のものとして考える時代になってきているように感じるのです。

 

一方で、逆に、ジェンダーについてあまり人前で語りたくないとか、語るのが怖い、という声も聞こえてきます。女性でもそうですし、男性の友人たちは、よりそうかもしれません。男性のほとんどは性被害の加害者ではないし、女性と素敵な関係をもっています。

 

私は、「女性の権利の保護・促進」というとき、国連が定めたSDGs(持続可能な開発目標)が「誰一人取り残さない」ことを原則にしたように、開発途上国の女性の地位向上や、日本でも政治に興味をもつ女性を増やすこと、そして障害のある女性のインクルージョンなどを想像します。具体的な課題をめぐって、建設的な思いやりのあるコミュニケーションを通して解決策を探っていくことが、わたしたちにできる必要なアクションでなのではないでしょうか。

 

私の知り合いはーもちろん男性も含めてーHeForSheはとても素敵だと言います。それは、ジェンダーの課題をめぐって、HeForSheは、女性だけではなく、男性と女性が協力し合いながら、取り組もうという前向きな考えに基づいているからだと思います。HeForSheが「She for He、He for He、She for She」であってもよいのだと思います。そして、ジェンダーをめぐる先人の知識や経験に基づき、女性の権利はもちろん、しかしそれに限らず、周辺化されている様々な人々に対しても協力の輪を広げていく、HeForSheを通して、そんなことができたらとても素敵だなと思います。自分の権利のためではなく、誰かのために行うイニシアチブはとっても魅力的だと思います。

 

例えば、EMPOWER Project(empowerproject.jp)という活動があります。これまでは、妊産婦の方がマタニティマークをつけたり、障害のある方がヘルプマークをつけたり、高齢者の方が高齢運転者マークをつけるなど、当事者の方がマークをつけるモデルが一般的でした。これらもとても大切な取り組みですが、EMPOWER Projectでは、逆転の発想で、協力する側がマゼンタピンクのマークをつけて「よければお声をかけてください」という気持ちを表明する「協力者カミングアウト」を広げています。このモデルでは、周りの人の協力が必要な時、協力してくれる人をみつけやすくし、そして、人それぞれの多様性に基づき、一人一人ができる範囲で協力し合う社会を促進できると信じています。多様性があるからこそ、それぞれの多様な力をもちより、協力しあうことで、様々なバリアを超えていけると思うのです。女性と男性の関係性も、本当はそういうものだと思います。

 

また、皆さんが今読んでくださっているボイス・オブ・ユース JAPANの人気記事トップ5の記事のうち常に1つがジェンダーに関する記事なんです。このことから見ても、ジェンダーはユース世代がとても関心を持っているトピックであることがわかります。昨今、SNSの影響もあり、声の大きな人、また発信力のある人の意見が通りやすくなってきていると感じますが、それが全体の利益を代表しているとは限りません。ボイス・オブ・ユース JAPANは、普段声を上げない方たちや、声をあげていても届きにくい人々、すなわちサイレント・マジョリティーや、サイレント・マイノリティーの声にも耳を傾けていくことを一つの目的に活動しています。

 

最後に、ジェンダーは私たちひとりひとりの日常生活、個人の中でも、答えのない、白黒つけにくい問題であるとも考えています。ジェンダーに関心が強い女子学生が、プライベートでは彼氏にデート代を奢ってもらおうとするなどということもよくあることです。それは良いとか悪いとかではなく、人との関係性や価値観というのは、二項対立の中だけでは語ることができない、沢山の要素がかかわる、複雑なものだからなのだと思います。HeforSheは、今苦しい立場に置かれている女性の状況を改善していく素晴らしいプラットホームであると共に、HeForShe、そしてShe for HeやHe for He、She for Sheとして、私たち一人ひとりが、それぞれの違いを尊重しながら協力し合う、とても大切なきっかけをあたえてくれていると思います。

 

  1. https://japan.unwomen.org/ja/news-and-events/in-focus/heforshe

 

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