Love For Everyone ~私が移民の家族から学んだ大切なこと~

この日なんの日
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今日12月18日は、国際移住者デー。1990年に全ての移住労働者とその家族の人権保護に関する条約が採択されたことを機に、2000年の国連総会で、国際記念日となりました。それから約20年。移住する人々を取り巻く状況は改善されてきたと言えるのでしょうか。

 

国連経済社会局(DESA)によると、2019年に、国際移民の数は2億7000万人に達し、2010年から5100万人増加しています。また、全世界人口に国際移民の占める割合も、2000年の2.8%から3.5%へと上昇しました1)。戦争や紛争、気候変動の影響を受け、祖国を離れることを強いられた人々、経済的豊かさを求めて自らの意思で新たな地を選んだ人々…。移住決定の要因は様々で、彼らの現状を一般化することはできそうもありません。しかし、単に移民や難民であることを理由に誰かを傷つける主張や彼らの受け入れに対する賛成派と反対派の対立は後を絶たないように思えます。どうすれば、すべての移住者の人権が守られ、誰もが共に生きる世界を実現できるのでしょうか。そんな大きな課題について、政治や経済的な側面から語ることは今の私にはできません。ですから今日は、私が移民のルーツを持つ一家とのかかわりを通して感じたことをお話しさせてください。

 

高校1年生の時、一週間カナダを訪れ、パキスタンからの移民である4人家族のもとで初めてのホームステイを経験しました。当時の私は、異文化交流や多民族国家の現状に漠然と関心を持っていたため、滞在をとても楽しみにしていたものの、心の中には不安が渦巻いていました。出身や言語、信仰や障害の有無など、私とホストファミリーの間にはあまりにも違いが多すぎるように思えたからです。自分の英語は通じるのか、外国人であり視覚障害者である私を、彼らは本当に受け入れてくれるのか。

しかし、そんな心配は無用だったのです。ホストファミリーは、その言葉と態度で私の心を解かし、たくさんの大切なことを教えてくれました。

「私たちには、数えきれないほどの違いがあるけれど、それは全く問題ではない。君は今日から家族の一員なんだよ。」

こう言って私を迎え入れてくれたホストファミリーも、約20年前に祖国から移住してきたばかりのころは、多くの困難に直面したそうです。学校では学んだことのなかった英語を必死に独学し、地域の人々とコミュニケーションをとりながら異国の文化に適応していく。ひとつひとつの壁を自らの信念で乗り越えてきた彼らの言葉は、重みと説得力を持って私の心に響いてきました。

 

「地球上の人々は皆平等な存在なのに、世界を見渡すといまだ違いを理由に苦しい立場に立たされている人がたくさんいる。君は、十分な教育の機会に恵まれ、やりたいことを何でもできる環境にいることにもっと感謝して、将来、誰かの幸せに貢献できる人間になりなさい。」

これを聞いたとき私は、人種の違いや障害の有無によって、無意識に他者の立場を決めつけたり、壁を作っていた自分自身に気づきました。しかし、たとえ言葉が十分に通じなくても、違いがあまりにも多く見えたとしても、人と人は心と心でつながっていける可能性があるのです。このホームステイを通して、多様な人々が共に生きていくために最も重要なことは、属性に関係なく心を開いて相手と関わろうとする姿勢なんだと考えるようになりました。毎日聞こえる祈りの言葉、パキスタンとカナダの伝統が入り混じった食事など、それまでの私にとって非日常でしかなかったものを、第二の家族の大切な文化だと思えるようになっていった、そんな一週間は3年近くを経た今でもかけがえのない宝物です。

 

最後に、ホストファミリーが私に送ってくれたとても素敵なメッセージを紹介したいと思います。

「Love for everyone, hatred for none.」(誰に対しても憎しみではなく愛を持ちなさい。)

この言葉通りに生きることは、決して容易ではないでしょう。でも、私たち一人一人が、身近にいる異なる価値観や習慣を持った誰かに対して思いやりと尊敬を抱いて接することができたなら、少しずつかもしれないけれど世界は変わっていくのかもしれません。

「Love for everyone, hatred for none.」

誰もが自分の望んだ場所で、笑顔いっぱいに暮らすことのできる日がやってきますように。

 

1) https://www.unic.or.jp/news_press/info/34768


 

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