私のメキシコ留学〜2ヶ月半経過〜

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メキシコに留学に来て2ヶ月半が経過し、毎日少しずつだができることが増えてきた。さすが地球の真裏とだけあって言葉も違えば、生活スタイル、安全性や人間性などあらゆる面で日本との違いがあるが、今のところは毎日平和に楽しく過ごせている。

日本での生活と比較して、身近に一番違いを感じるのが寮での生活だ。私は留学先の大学から徒歩圏内の学生寮に住んでいる。各部屋にトイレとシャワーが備え付けられていて、キッチンは共用。平日は管理人の女性が玄関入ってすぐのオフィスにいて、お手伝いさんが掃除しているところもたまに見かける。私とコスタリカ人の男性以外はみんなメキシコ人で、男女合わせて20人の学生が暮らしている。

日本でも2年半、キャンパスの移動に伴って計2箇所の学生寮で一人暮らしをしていたのでメキシコに来てもさほど変化はないだろうと思っていたが、実際はそう簡単にはいかないものだ。

 

まずは寮の人たちが集まった時に話すスペイン語が全然分からない。言葉でコミュニケーションが取れない悔しさ、もどかしさを感じる。誰かと一対一で話すときは分からなくても聞き返せたり、なんとなく相手が私の様子を察知してもう一回話してくれたりしてくれるおかげでなんとか会話が成り立っている。授業は基本的に一人しか話し手がいないのでそこに意識を集中できる。しかし寮のように大勢の人間が集まった時はみんな盛り上がって次々と好きなタイミングで話し出す。どこをどう聞けばいいのか混乱するし、やっと私が理解しかけた時にはみんなはもう次の話題に移ってしまっている。また、話し方や言葉遣いも人それぞれで難しく、なかなか慣れない。到着して間もない頃はみんなが何を話しているのか本当にちんぷんかんぷんだった。2ヶ月半が経ってようやく話の大枠をつかめるようになってきたが、それでも理解するのに精一杯。全然自分から話すことができていない。いつも大人しくただ聞いているだけの日々が続いているが、こんな私でも寮の人たちは温かく見守ってくれている。彼らの会話にちゃんと参加できるようになるのが当分の目標である。

 

次に寮の人たちの仲の良さに驚いた。寮の中で誰かが誕生日だと必ずパーティーを開きバースデーソングを歌ってケーキを食べる。管理人さんや寮の誰かが発案してバーベキューやピザパーティーが開かれることもしばしば。寮の中で誰かとすれ違ったら絶対に挨拶する。共用スペースからは日付が変わる頃まで毎日のように楽しい話し声が絶えることがない。一緒に外でご飯を食べに行ったりクラブに踊りにいったりもしている。物の貸し借りも当たり前、時には物をくれるときもある。「私は十分食べたから」とバナナや冷凍食品の餃子をくれたり、実家に帰省した時に庭になっていたスターフルーツをわざわざ持ち帰ってきてくれたりした子もいた。

東京で一人暮らしをしていた時は住人とすれ違っても全く挨拶しないどころか、自分の隣に誰が住んでいるのかもわからなかった。メキシコでは寮の人たちとの距離の取り方に戸惑いを感じつつも、みんな親切に優しく接してくれてとても助かっている。けれども、よくよく考えると東京に出る前はちゃんとご近所づきあいがあった。私が住んでいた200戸くらいの小さな町内の中でも毎年納涼祭や子供神輿などのイベントがあったり、お隣さんとはお裾分けの食べ物やお土産を交換したりと、地域のコミュニティがしっかりと成り立っていた。メキシコで改めて、東京の生活の孤独さと異様さを感じた。そしてメキシコに来るまでのたった2年半の間に、その孤独さや異様さが自分の中で当たり前となっていたことに少し恐怖さえ覚えた。

 

最後に、メキシコに留学する中で常に思うのは、自分のことを助けてくれたり支えてくれたりする人たちやコミュニティに恵まれて本当に良かったということだ。それらがなかったらメキシコという新しい環境で絶対に生き残れなかったと思う。みんなに感謝するとともに、将来何かで還元しなければならないなと強く感じた、そんな2ヶ月半であった。


 

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