みなさんは自分の外見に自信がありますか?自分の外見のお手入れにどのくらいの労力を割いていますか?
私の1日のルーティンを紹介したいと思います。最近、YouTubeで流行りの、それです(笑)。
朝起きてコーヒー片手に大学の準備を始めます。顔を洗い、歯を磨いて、化粧水をつけます。コテの電源を入れ、コテをあっためているうちに大学の教科書をカバンに大急ぎで詰め込み、コテがあたたまったところで大急ぎで髪の毛の寝癖をなおします。ここまでで約10分。
それからメイクポーチを引っ張り出してメイク開始。前日に夜遅くまで大学のレポート書いて寝不足でクマがくっきり、の朝のむくんだ顔とご対面して、なんとか見られる顔に仕上げます。ここまでで約15分。
それから次は着ていく服を選ぶのも結構な大騒ぎ。これは2日前に着た、これは今日は暑すぎる、とかバタバタして10分。
最後にその日の気分の香水をワンプッシュしてようやく家を出ます。
大学に着いたら着いたで、1日に何度かメイクを直します。大学の授業にサークル、バイトでくたくたになって帰ってきた後は、メイクを落とし、お風呂に入ります。お風呂から上がったら顔にはパック、髪の毛には落とさないトリートメントをつけて丁寧にドライヤーで乾かします。
ここまでで帰宅してから大体1時間。その後大学の課題に取り組み、、、といった具合です。
自分で書き出してみて、何て私は自分の外見を作ることに時間をかけているのだろうかと驚きました。なかには私よりももっとたくさん時間をかけている人も、もっと時間がかからない人もいるでしょう。
このような話を持ち出したのは、私が中学生のころに経験した軽度の拒食症について話してみようと今日思ったからです。
中学2年生の夏、私は身長151cmで体重がわずか25kgでした。
肥満度を表す体格指数であるBMIは10.96。拒食症のきっかけはほんの些細なことでした。そのころ、クラシックバレエを習っていた私は、中学生になり少しずつ大人の体に変わりゆく自分の体が嫌いでした。
バレエではレオタードを着るので、自分の体の変化を鏡を見て目の当たりにします。バレリーナにとって太っているのは大問題です。バレエのコンクールでは体型も審査の対象になります。
重要なコンクールを目前に控え、私はダイエットをする決心をしました。
すでに、一般の人に比べては痩せていたにもかかわらず、です。毎日のバレエのお稽古で体を酷使しているのにもかかわらず、1日にわずか500kcalしか摂取しないと決め、頑なに食べることを拒んでいた記憶があります。食べて0.5kgでも太ったら、まるで10kg太ったように感じていました。
今思うと、その時の私は確かにおかしかったのです。真夏に寒気がしたり、バレエのお稽古の途中に具合が悪くなって倒れ込むこともしばしば。でも、大好きなバレエのためだ、と信じていました。食べることが怖かったのです。「美しさ」を求めるバレエの世界で太ったら「美しくなくなる」、と感じていました。
今は、もう拒食症ではありませんが、その名残でしょうか、私は今でも食べ過ぎてしまったり、全く食べられなくなったり、食生活は相変わらず不安定なのは認めざるをえません。
厚生労働省によると「摂食障害全体は1980年代からの20年間に約10倍の増加がみられ」るそうです。1)世界で摂食障害で苦しんでいる人、摂食障害まではいかなくても自分の外見のことで悩んでいる、自信がない人は多いのではないかと思います。
女性ファッション誌や、テレビ番組等で「ダイエット」「痩せる」といった言葉を見かけない日はないと言っても過言ではないことからも、世の中の多くの人が「自分の外見を変えたい」「痩せたい」と思っているのがわかるのではないでしょうか。
私はただの経験者ですし、世間にはもっと重度の摂食障害の方も多いです。専門の医者でもカウンセラーでもありませんから、専門的なことも言えません。ただ、最近世間が痩せすぎることに警告を鳴らすようになってきて、とてもうれしいと感じています。
例えば、パリコレが開催されるフランスで、2015年BMIが18を下回るモデルの活動を禁止したことや、プラスサイズモデルの活躍等があります。
一方で、未だに多くのファッション誌を飾るのは、ほっそりとしたモデルさんがほとんど。痩せていることが美の基準になっていて、痩せていることが「美」の必要条件の一種になっているから、自分が太っているのではないかと不安になることも多いでしょう。今では随分とふっくらして標準的な体型になった私も、ファッション誌を見ては痩せたいと思い、時に太りすぎているのではないかという不安から食欲がなくなることもあります。
冒頭に述べたように時間に書き表してみれば、多くの人が結構な時間を「自分の外見を磨く」ことに費やしています。誰だって少しでも自分の見た目をよくしたいと思うことは普通でしょう。それが悪いこととは思いません。
けれど、もしそれがいきすぎてしまって、フィジカルやメンタルの健康を害してしまうとしたら、その人は本当にその状態で美しいのでしょうか?人それぞれに、その人が一番健康で輝ける体型があるのではないでしょうか?ちょっとぽっちゃりしていたって、魅力的な人は魅力的です。
ココ・シャネルは女性が窮屈なコルセットをつけないファッションを生み出し、「美」に新しい基準を生み出しました。それと同じように、そろそろ私たちにも、骸骨のように痩せるのではなく、その人が最もチャーミングで健康的でいられる体型が美しいという、新しい(もしくは、本来当たり前である)、「美」の基準が必要なのではないでしょうか?
1)https://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_eat.html
VoYJ広報部員。新潟市出身、東京大学在籍。今は見る専門だが、バレエが大好き。写真、家具も好き。最近は映画『レオン』にはまり中。英語がそこまで得意でないにもかかわらず、英語中心の学部に進学してしまい、新学期果たしてやっていけるのか、、、。