生かすも殺すも自分次第

ボイス
31+

皆様、バレエ」 「バレリーナ」と聞き、何をご想像なさりますか?

「綺麗」「美しい」「優雅」など美化されたイメージの一方で、中には「嫉妬がすごそう」「いじめられそう」など、全く真逆のイメージを持っている方も少なくないようです。実際、嫉妬・嫌がらせ・確執など、残念ながら少なからずあるものです。ですがそれは、どの業界をみても同じことではないでしょうか。

ここで「バレエ」に特化して話したところでわからない方の方が多いかと思いますので、「海外留学、海外勤務」において大変だった事、良かった事、学んだ事など、これから日本から沢山の人が海外で活躍できるよう心から祈る私から、少しお話しさせてください。

 

私が海外へ留学したのは中学を卒業した15歳の頃でした。言葉の壁は厚く、それと同時にホームシックで本当に辛い日々でした。

そもそも海外留学を決めた理由は、存分に甘えられる環境にいつまでいても何も変われない。変わりたい。と思ったのがきっかけです。

やらなければいけない状況であればやれるのではないか。当時の自分は、何をしても中途半端で、己に負ける弱い人間だという事を自覚し嫌気がさしていたため、小さな可能性に期待しました。

ですが、現実はやはり甘くはありませんでした。

言葉が通じず言いたい事も言えず、助けて欲しくても英語でなんて言えばいいのかわからず、自分の中で想いを押し殺していました。

毎朝1人で眠い目を無理矢理こじ開け、朝ごはんを作り、食べ、学校へ。学校では仲のいい友達は居らず、ロッカールームでは現地の子達がいつもガールズトークをしていました。クラス中、先生に注意をされても質問をされても褒められても、何を言われているのか理解できず、いつも笑い者でした。

そんな居づらい学校が終わり、家に帰ってきても部屋は真っ暗。「ただいま、、、」と誰も居ない部屋に呟き、パソコンの電源をいれ、共同のキッチンにご飯を作りに行くのですが、コンロは必ず他の人が使っていて、ひとり空腹をこらえながら空くのをいつも待っていました

ご飯をさっと作り部屋に持ち帰り、パソコンの前に座ってただ無言でご飯を食べていました。ストレスでブクブク太っていく自分を鏡で見て絶望し、先生にはご飯を食べるなと言われた事を思い出し必死に吐こうといつも指を喉に突っ込んでいました。

日本で高校に通っている友達は楽しそうにSNSにプリクラや食べ物の写真を投稿していて、堪えても悔しながら涙がいつも溢れてきました。そんな日々は15歳の私には、とても悲しく辛い日々でした。

 

こんなに情けない弱々しい生き方を両親が見たらどう思うだろうか。親も決死の覚悟で一人娘を海外に送り出してくれたというのに。

環境のせいで、好きで始めたバレエを大嫌いになりました。昔は踊るのが大好きで、発表会を観に来る両親に喜んで欲しくて毎日楽しく頑張れていたのに。

両親や家族、周りの期待は子供にはとてつもないプレッシャーなものです。

もちろんプレッシャーをかけているつもりはないのだろうけど、子供にとっては両親の幸せが一番の望みです。だから、愛情や優しさが無意識のうちにプレッシャーになっていました。

ですが、時間はあっという間に過ぎ、半年経った頃には何となく英語も理解できるようになり、コミュニケーションを怖がらずともとれるようになっていきました。

嫌でも時間は過ぎていきます。どんなに難しいことも毎日の積み重ねで出来るようになるものです。海外での生活に慣れるということが、何より大変なことです。

慣れるまでに母国に帰ってしまうのが一番勿体無い挫折の仕方です。辛くても、どんなに涙を流しても、時間は過ぎていくのだから。留学一年目は耐えるということが何より大切だと私は思います。焦って 何でも出来るようにならなければいけない。と思うのは私の経験上かえって自分をだめにしました。

海外で暮らしていて、今悩んでいる方々、海外で挑戦したいという方々には是非お伝えしたいのです。海外での生活は、決して簡単ではありません。言葉も文化も全てが違いますから。

ですが、時間が助けてくれます。頑張りは必ず自分自身を助けてくれます。私も、同僚も周りの海外で働く日本人も、同じ経験をしてきました。日本という何でも手に入る素晴らしい国に生まれたのだから人生のほんの一部の数ヵ月、数年を自分を追い込む成長の期間として海外で苦労してみることをお勧め致します。

 

現在、私はプロのバレリーナとしてジョージア(旧グルジア)で生計を立てております。

劇場や、職場はとてもいい環境で、何よりこの仕事の良いところは、世界中を、同劇団のダンサー皆んなで飛び回れる事です。ダンサーとしてのキャリアをあげるのには最高の場所ですが、もっと違う国で異なる文化、言語、人種に触れ 自分のスキルも上げていきたいと思っています。現段階では、日本に帰る予定はありません。海外でこれから先も沢山のことを学んでいきたいと思います。

好きだから始めたこと」なら、やりたくてやっていることなら、環境のせいで自分のやりたかったことを嫌いになってしまってもすぐに辞めようと思わずに、我慢してもう少し続けてみてください。

続けてきたことの価値は何にも変えられない財産だと思います。そして始めたことにも続けてきたことにも理由があると思います。やめるのは、簡単なことですから。と、私は自分に言い聞かせております。

最後に、私が海外生活6年目にして常に意識していることは、どんなに長く海外で暮らしていても自分が日本人であることを忘れてはいけない。日本人はどこにいても謙虚忍耐強くそして礼儀正しくあるべきだ。ということです。

世界中で愛される日本に生まれ、素晴らしい教育を受けて育ったことに誇りを持っています。そしてこれからも誠心誠意精進して参ります。

長々とご清覧ありがとうございました。

31+

新潟県出身。21歳。15歳で単身ポルトガルへ留学。3年間就業後、18歳でジョージア国立バレエとプロとして契約を結ぶ。20歳で主役デビューも果たした。現在も在籍中。
Instagram: RUIKA YOKOYAMA で検索お願いします!