MOTTAINAI精神を取り戻そう

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生涯、環境問題に尽力されたケニア出身のワンガリ・マータイ(Wangari Maathai)さんは、2005年に来日された際、「もったいない」という、ものを大切にする日本の精神を示す言葉に感銘を受け、「MOTTAINAI」の言葉の持つ意味を世界に広げました。日本の概念を世界の人々に知ってもらうことは、喜ばしいことでしょう。しかし、肝心の私たち日本人は、今日でもこの「もったいない」という考え方を大事にできているでしょうか。

私は現在イギリスに留学していますが、環境問題を積極的に考え、実際に行動に移しているクラスメイト達に日々感心させられます。例えば、レストランでお腹いっぱいでこれ以上食べられない、というとき、みなさんはどうしていますか?あるクラスメイトは、出かける際には必ず持っているタッパーをカバンから取り出し、食べきれない分の料理を綺麗に残さず入れて帰ります。こうすれば、お腹いっぱいだった彼女も料理を残す罪悪感もなく、帰ってからまたお腹の空いたときに食べることができ、料理を提供したお店側も残り物を下げる不愉快な思いをせず、誰にとってもプラスです。私も以前に飲食店でアルバイトをしていたので、お客さんが持って帰った食べ物が悪くなり、食中毒にかかってしまうことの危険性などを考えて、お持ち帰りは認められないというお店側の対応も理解できます。ですが、自らがお金を払って注文した食べ物を、もう食べられない、というだけの理由でそう簡単に残してよいものでしょうか。お金を払ったのは自分なのだから、食べようと残そうと自分の勝手・・・?

そもそも、「もったいない」の「勿体」は、威厳さ、重々しさを意味し、勿体は元々「物体」と表記されていましたが元の意味が薄れ、「勿体」と書かれるようになりました。また、「勿体」には、神聖・重要なもの、という意味もあるため、「勿体無い=神聖なものがない」と意味するようになりました。つまり、ものを大切にしてきた私たちの文化は、食べ物だけでなく、食べ物を作った農家や漁師の人々、言わば料理ができるまでの過程へも敬意を払っていたため、それを残すのは「勿体無い」となっていったのでしょう。私たちが食前・食後に言う「いただきます」、「ごちそうさま」も深く関係しています。こうした言葉は英語にはなく、直訳はできません。文化によっては、食べ物を残すことは、料理を提供した人に対して、「食べきれないほどお腹いっぱいだよ、ありがとう」という感謝の意味を示す国や地域もあります。

私はここで必ずしも、お腹一杯で気分が悪くても残さず食べろ、と言いたいのではありません。せっかく食べ物に感謝を示す言葉や概念が日本にはあるので、食料廃棄が深刻になっている今だからこそ、日本人である皆さんにいま一度考えていただきたいのです。これから外食する際にはタッパーを持って出かける、残さずに食べる、他の国の友達や知り合いにMOTTAINAI文化について話してみる、などどんな方法でもいいのです。これをきっかけに、少しでも皆さんにも食べ物の関係について考えていただけたら嬉しいです。

 


参照:
MOTTAINAI http://www.mottainai.info/jp/about/
語源由来辞典 http://gogen-allguide.com/mo/mottainai.html 

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