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皆さんは高知県を訪れたことがありますか?高知県と聞いて何を思い浮かべますか?私の経験上、多くの方が仁淀川や足摺岬といった「観光地」を思い浮かべるでしょう。高知県に限らず、ある土地の魅力を尋ねられたとき、そこを象徴するような「観光地」を答えるのではないでしょうか。しかし、その土地の魅力は「観光地」なのでしょうか?旅の目的とは「観光地に行くこと」なのでしょうか?
高知県の魅力は、「何もないこと」と「時の流れがゆっくりとしていること」だと思っています。ここでの「何もないこと」とはポジティブな意味で、都会のような色気がなく落ち着いた雰囲気ということです。中心地であっても商業施設や繁華街がほとんどないのです。徒歩や車、汽車で県内を移動しても視界には緑や黄色の景色が広がり、その景色はゆったりと変化していきます。
ゆっくりとした時間を象徴するのは汽車です。高知県には路面電車と汽車が走っていますが長距離の移動には汽車が欠かせません。他県で言う電車のような役割を汽車が担っているのです。高知県の汽車が特徴的なのは、各駅を1時間に1本程度しか通過しないことと、走行スピードが非常にゆっくりであることです。汽車を逃せば何もないホームで1時間待ち、汽車に乗ると車窓をゆっくりと流れる田園風景を眺めたり汽車の立てる音をBGMにしながら読書をしたりする中でのんびりとした時間の流れを感じることができます。汽車は、日々それに乗って揺られるその土地の人たちの暮らしを象徴しているのです。
ですが、そこに住む人の中には、特に若者を中心としてこういった魅力を「未開発」や「過疎」と結び付け、ネガティブな意味で「何もない」と捉える人もいます。私自身も東京に出るまではそう考えることもありましたし、高知県を内部から見ているからこそ、その魅力に気づくのが難しいのかもしれません。しかし、観光客である皆さんは、高知県の外部に出た私と同様に、この魅力に気づくことができるのではないでしょうか。そして、それは「観光地に行くこと」ではなく、その土地やその土地の暮らしを肌に感じることで達成されるのではないでしょうか。ぜひ高知県を訪ねてみてください。そして、汽車に揺られながらその土地で暮らす人たちのゆったりとした暮らしを味わって欲しいです。
[1] 土佐くろしお鉄道株式会社公式ホームページ https://www.tosakuro.com/gonalocal
東京大学理科I類2年。高知県出身。「そのパーマいいですね!」とよく言われるが実は天パ。
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